物流業界入門

物流業界の基礎から最新トレンドまで、現場経験を活かしてわかりやすく解説!

2026-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【共同配送とは何か】── なぜ物流は『競争』から『共存』へ向かい始めたのか

物流業界で近年よく聞く言葉があります。 「共同配送」 です。 2024年問題以降、 ドライバー不足 輸送コスト上昇 燃料高 CO₂削減 積載率改善 などを背景に、 共同配送は再び大きな注目を集めています。 しかし実際には、 「複数企業の荷物をまとめて運ぶ仕組…

【「物流施設」が、電力を売る時代へ】── サンケイビル×東急不動産。“運ぶ箱”が「エネルギー拠点」へ変わり始めた

2026年5月。 サンケイビルと東急不動産グループは、 物流施設を活用した再生可能エネルギー運用を本格化すると発表しました。 今回の特徴は、 単なる「倉庫の屋根に太陽光を載せた」という話ではありません。 物流施設で発電した再エネを、 施設内で自家消費…

【「宅配便」が、新幹線に乗り始めた日】── Amazon×JR。物流2026年、“速度”を鉄道へ取り戻し始めた日本物流

2026年5月28日。 アマゾンジャパンは、新幹線を活用した商品輸送を本格開始したと発表しました。 活用されるのは、JR東日本グループの列車荷物輸送サービス「はこビュン」。 対象となるのは、 東北新幹線(東京―新青森) 北海道・東北新幹線(東京―新函館北…

【物流改善の本質】NTTロジスコが示した「属人化崩壊後」の物流現場

── AIより先に消えるのは、“現場依存”かもしれません 物流現場で今、静かに進んでいる変化があります。 それは単なるDXでも、 単なる省人化でもありません。 「属人化からの脱却」 です。 NTTロジスコが今回、 日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の 「…

【物流制度解説】「走れる道」が変わり始めた ── 全ト協「重さ指定道路・高さ指定道路」要望受付開始。その本当の意味とは

全日本トラック協会(全ト協)は2026年5月25日、2026年度の「重さ指定道路」「高さ指定道路」に関する要望受付を開始しました。 令和8年度「高さ指定道路」の指定に関する要望の受付について | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association 令和8年度…

【包装資材まで揺れ始めた】── レンゴー値上げが示す、「物流危機」が製造現場へ波及する時代

物流費が上がっている。 燃料が高騰している。 そうした話は、ここ数年で何度も聞かれてきました。 しかし今、起き始めているのはそれだけではありません。 “包装そのもの”が値上がりし始めています。 レンゴーは2026年5月27日、医薬品や食品包装などに使わ…

【構造考察】「運賃」ではなく「リスク」が値上がりしている── 中東情勢で急騰した外航輸送費が示す、“平時コスト物流”の終焉

物流価格が、静かに変質し始めています。 2026年5月27日、日銀が公表した4月の企業向けサービス価格指数では、全体で前年比3.0%上昇となりました。 一見すると、「やや物価上昇が鈍化した」という一般的なニュースにも見えます。 しかし物流視点で見ると、…

【JR貨物「ORS料金導入」の本当の意味】 ── オフレールステーションとは何か? “鉄道だけでは完結しない物流”の現実

JR貨物が2026年10月から、オフレールステーション(ORS)発着貨物に対して新たに「ORS料金」を導入します。 一見すると、単なる運賃改定のようにも見えます。 しかし実際にはこれは、 「鉄道物流は、鉄道だけでは成立していない」 という現実を、JR貨物自身…

【構造変化】紙メーカーが「物流会社化」している

── 日本製紙15%超値上げの本当の意味。“紙不足”ではなく、「安定供給コスト」の時代へ 2026年5月。 日本製紙は、印刷・情報用紙を15%以上値上げすると発表しました。 理由として挙げたのは、 ・中東情勢緊迫化 ・ナフサ価格高騰 ・原燃料コスト上昇 ・原材…

【構造考察】なぜ運輸業だけ残業規制を守れないのか ── “長時間労働産業”ではなく、「社会のズレ」を背負わされた業界の現実

2026年5月。 日本商工会議所と東京商工会議所が公表した 「中小企業の働き方改革に関する調査」が、 物流業界の“根深い構造問題”を改めて浮き彫りにしました。 全体では、 「時間外労働20時間未満」 の企業が81%。 多くの中小企業は、 一定水準では残業規制…

【構造考察】なぜ鉄道貨物は減っているのか──「モーダルシフト推進」の裏で進む、“物流の余白消失”

2026年5月25日。 国土交通省が公表した「鉄道輸送統計月報」によると、2026年2月の鉄道貨物輸送量は前年同月比で減少しました。 貨物数量総合計:318万6239トン(前年比4.2%減) 貨物トンキロ総合計:13億2714万1000トンキロ(前年比6.5%減) 特にコンテナ…

【青果物流が「共同化」に動き始めた日】―― 中部圏19組織連携。“運べない時代”に、日本の食料物流はどこへ向かうのか

2026年5月。 中部・北陸圏の青果物流で、 かなり重要な動きが出ました。 産地・輸送・市場関係など19組織が連携し、 「共同物流効率化推進協議会」 を発足。 青果物流の共同輸配送・中継輸送を本格化させる方針を打ち出しました。 これは単なる共同配送ニュ…

【多業種物流儀⑩】エネルギー物流(危険物物流)

――「運ぶ」では済まされない。燃料輸送が背負う、日本社会の“停止できない責任” 燃料価格高騰。 脱炭素。 EV化。 そして中東情勢。 近年、「エネルギー」がニュースになる機会は急増しています。 しかし。 そのエネルギーを、 “誰が、どうやって、止めずに運…

【構造考察】また日本郵政か――“現場の不正”では終わらない ――郵便回収入札汚職が暴いた、日本物流インフラの「統治問題」

日本郵便の元社員が、郵便物回収業者の入札で便宜を図る見返りとして、約120万円相当の賄賂を受け取った疑いで逮捕されました。 これを受け、総務省は日本郵便に対して行政指導を実施しました。 具体的には、 同様事例の社内調査 管理体制不備の分析 再発防…

【物流2026年問題】残業は減らない、荷主対策は12% ── “法改正だけ進む物流”の危険構造

物流2024年問題から約2年。 現場では、 荷待ち ドライバー不足 倉庫滞留 運賃交渉 長時間拘束 人材流出 といった問題が、むしろ深刻化しています。 しかし今回、非常に気になる調査結果が出ました。 フリーウェイジャパンが公表したアンケートによると、 「…

【構造考察】「夏は昼に働くな」の時代へ―― 大林組“13時終業”が示す、物流・建設を襲う「暑さインフラ崩壊」

2026年5月。 大林組が、 猛暑期間中の建設現場作業時間を 「午前7時〜午後1時」 へ変更すると発表しました。 単なる労務改善ニュースに見えるかもしれません。 しかしこれは実際には、 「日本の屋外労働そのものが、気候変動に適応できなくなり始めている」 …

【多業種物流儀⑨】酒類物流――「重い・割れる・回収する」 酒の物流が“想像以上に難しい”理由

酒類倉庫の現場担当者に話を聞きました。 最近は自動倉庫も増えていますが、 「しょっちゅう止まる」 「維持費が重い」 「導入したほど楽になった感じがしない」 という声も出ています。 物流DXと言えば聞こえは良いですが、 現場では、 「止まった瞬間、全…

【寄稿解説】「荷待ち」はなぜ消えないのか── メルクマール寄稿第2弾で見えた、“物流が止まる本当の場所”

物流2024年問題。 世間では、 ドライバー不足 残業規制 運べなくなる危機 が注目されがちです。 しかし今回、私がメルクマール寄稿第2弾で掘り下げたのは、 「走るトラック」 ではなく、 「止まっているトラック」 の話です。 ▼寄稿記事 「これは休憩じゃな…

【サントリー×ダイキン「異業種共同輸送」】――ダブル連結トラック時代、日本物流は「競争」から「接続」へ変わる

2026年5月。 鴻池運輸が、サントリーグループとダイキン工業の製品を組み合わせたダブル連結トラック輸送について、新ルート運行を開始すると発表しました。 往路では飲料、 復路では空調製品。 異業種の貨物を組み合わせることで、 ・積載率向上 ・ドライバ…

【病院が「共同配送」に動き始めた日】――岡山大学・島根大学連携が示す、“医薬品物流再編”の始まり

2026年5月。 岡山大学、島根大学、岡山市立総合医療センター、岡山赤十字病院が、重要医薬品の共同調達に乗り出すと発表しました。 抗がん剤など約100品目を共同購入し、需要予測や在庫確保を強化する。 さらに注目すべきは、 「共同配送」 です。 複数の卸…

【構造考察】「人が足りない」のではない ――物流・建設・ITが同時に悲鳴を上げる、“現役世代枯渇”という日本最大の危機

2026年4月。 帝国データバンクの調査で、正社員の人手不足を感じている企業は50.6%に達しました。 つまり、 「2社に1社が、人がいない」 という状態です。 しかも深刻なのは、その中身です。 不足しているのは単純労働力ではありません。 ・運べる人 ・直せ…

【段ボールが発泡スチロールを置き換える日 】

――サクラパックスが示した「物流コスト高騰時代」の新しい防衛戦略 2026年、物流現場で静かに進んでいる変化があります。 それは、 「包む素材」が変わり始めている ということです。 富山県の包装資材メーカー・サクラパックスは、これまで発泡スチロールが…

【構造考察】食品消費税ゼロで物流は救われるのか?

―― 消費者は得をし、生産・物流現場は資金ショートする。「減税」の裏で始まる供給網の窒息 2026年5月20日。 高市早苗首相は党首討論で、 「2年間限定の飲食料品消費税ゼロ」 に向けた関連法案提出を明言しました。 物価高が続くなか、 消費者目線では歓迎ム…

【食品容器大手が食品トレー一斉値上げ】

――中東情勢が“日本の物流現場”を静かに圧迫し始めた またひとつ、 物流現場にとって重いニュースが出ました。 食品容器大手の、 ・エフピコ ・シーピー化成 ・中央化学 ・リスパック 各社が、2026年6月出荷分から大規模値上げを実施します。 値上げ幅は、 ・…

【構造考察】荷主は「発注者」から「物流統治者」へ

――CLO時代に始まった“物流ガバナンス経営”という新局面 物流業界はいま、 単なる「運ぶ産業」から、 “説明責任を問われる産業” へと変わり始めています。 その象徴とも言える動きが、今回発表された、 「物流ガバナンス設計プロジェクト」 です。 行政書士法…

【福山通運が「紙」を捨て始めた日】――JUST.DB導入が示す、“物流DXの本当の主戦場”

物流DXという言葉を聞くと、多くの人はAIや自動運転、AGV、物流ロボットを想像します。 しかし実際に物流現場を止めているのは、もっと地味で、もっと根深い問題です。 それは、 紙 Excel 押印 属人化 回覧 「あの人しか分からない」 といった、日本型業務運…

【コメ不足ではなく「倉庫不足」が始まった】――備蓄米再開の裏で起きる、“保管物流クライシス”の正体

2026年、 コメ物流が新しい局面に入り始めています。 日本農業新聞は、 「2025年産米の在庫積み上がりによって、出来秋に倉庫不足が発生する可能性」 を報じました。 一見すると、 単なる農業ニュースに見えるかもしれません。 しかし物流視点で見ると、 こ…

【物流2026】セブン「鮮度逆転緩和」が示す未来 ――“早く新しく”より、“止まらない物流”へ

コンビニ物流で、 かなり重要な動きが出ました。 セブン‐イレブン・ジャパンが、 ソフトドリンク納品において、 「鮮度逆転緩和」 を7月15日納品分から順次開始します。 一見すると地味です。 しかし物流視点で見ると、 これはかなり本質的です。 なぜなら今…

【構造考察】物流業界は“職人の世界”を脱却できるのか――全ト協「キャリアラダー」導入が示す、“経験依存物流”の限界

物流業界で今、 静かに大きな転換が始まっています。 全日本トラック協会が紹介を始めた、 「キャリアラダー」 です。 これは単なる人事制度ではありません。 むしろ本質は、 “物流現場を言語化する試み” に近い。 これまで物流業界は、 見て覚えろ 現場で慣…

【多業種物流儀⑧】残置物撤去 ――人口減少社会で発生する“逆向きの物流”

物流というと、多くの人は 商品を運ぶ 店に届ける ECで配送する そんな「前向きの流れ」を想像します。 しかし今、日本ではもう一つの物流が急拡大しています。 それが、 「残置物撤去」 です。 空き家。 廃屋。 孤独死。 相続放棄。 高齢者施設入居。 解体…