物流業界入門

物流業界の基礎から最新トレンドまで、現場経験を活かしてわかりやすく解説!

2026-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【日本郵政「7,000億円計画」の本当の意味】

――郵便局は“郵便”だけではもう維持できない時代へ 日本郵政が発表した新たな中期経営計画。 表面的に見れば、 純利益7000億円超 ROE7%超 増配 自社株買い という、 典型的な「株主向け成長戦略」に見えます。 しかし、 物流・インフラ構造の視点で見ると、 …

【物流業界の現実】 ――なぜ今、「大型免許を持つ人」が圧倒的に強いのか

物流業界を見ていると、 ここ数年で明確に変わったことがあります。 それは、 「運べる人」が足りない ということです。 これは単なる人手不足ではありません。 特に不足しているのは、 大型に乗れる人 幹線輸送を回せる人 長距離を任せられる人 プロ免許を…

【公取委が物流へ踏み込む意味】――「荷主が悪い」で終わらない。物流は“協業できる企業”だけが残る時代へ

物流の世界で、 長年「仕方ない」で処理されてきたものがあります。 それが、 荷待ち 荷役 付帯作業 無償対応 一方的な単価据え置き です。 そして2026年、 ついにその“空気”に、 公正取引委員会が本格的に踏み込み始めました。 今回、公取委が示したのは、 …

【多業種物流儀⑦】EC物流――「早く届く」の裏側で、物流はどこまで“無理”を引き受けてきたのか

まず、「EC物流」の“EC”とは何か。 ECとは、 Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)の略です。 日本語では「電子商取引」、 もっと分かりやすく言えば、 “インターネット上で商品を売買する仕組み” のことです。 Amazonや楽天市場、 Yahoo!ショ…

【運行管理者試験、合格率38.9%】――「法改正の一巡」が物流現場にもたらす“静かな地殻変動”

令和7年度第2回運行管理者試験(貨物)の結果が発表されました。 今回の数字には、単なる「合格者の増減」以上の意味が隠されています。 まず、事実を確認します。 合格率:38.9%(直近5年間で最高) 受験者数:21,577人 合格者数:8,397人 直近5年で最高、…

【出荷予測は物流を救うのか?】――NX「DCX」が示す“在庫ではなく流れを設計する時代”

NIPPON EXPRESSホールディングスは5月14日、日本通運の物流Webアプリ「DCX(デジタル・コマース・トランスフォーメーション)」において、AIを活用した出荷予測機能を強化したと発表しました。 一見すると「便利な機能追加」に見えるかもしれません。 しかし…

【なぜ物流会社は増えているのに、苦しくなるのか】――新設法人過去最多の裏で進む「物流の二極化」

データ出所 本記事は、東京商工リサーチ「2025年 全国新設法人動向調査」(2026年5月12日公表)を基に分析しています。 2025年、全国の新設法人は15万7011社。 これは調査開始以降、最多の数字です。 一見すると、日本経済は活発化しているように見えます。…

【構造考察】運賃3777万円不当減額――なぜ「現場のミス」で済ませてはいけないのか

2026年5月12日。 公正取引委員会は、 琉球倉庫運輸に対し再発防止の勧告を行いました。 不当に減額された運送代金:3777万円 対象期間:2024年1月〜2025年11月 対象:下請け事業者16社 表面だけ見れば、 「社内の意思疎通不足によるミス」 と処理されそうな…

【旭化成、ポリエチレン撤退の衝撃】――それは“中東リスク”ではない。「安く作れる前提」が崩れた瞬間です

2026年5月12日。 旭化成が、ポリエチレンなど一部化学製品の生産から撤退すると発表しました。 対象:ポリエチレン/スチレンモノマー 拠点:水島製造所(岡山県倉敷市) 目標:2030年度までに撤退 一見すると、 需要減 稼働率低迷 という“よくある事業整理”…

【アート引越センター「消費者志向宣言」の意味 】――運ぶだけでは選ばれない時代、物流はどこまで“サービス”になれるのか

2026年5月11日。 アート引越センターが、 消費者庁の推進する「消費者志向経営」に賛同し、 「消費者志向自主宣言」を策定したと発表しました。 一見すると、 よくある企業方針 イメージ向上の取り組み そう見えるかもしれません。 しかしこれは、 物流の定…

【カルビー「白黒パッケージ」の意味】――ポテトチップスからインクが消えた日、物流の限界が露呈する

カルビーが「ポテトチップス」の一部商品について、 パッケージを白と黒の2色仕様で販売することが明らかになりました。 理由はシンプルです。 インクが足りない ただしこれは、 単なる資材不足の話ではありません。 物流がどこで詰まるのかを示す“象徴的な…

【メディパルホールディングス×PALTAC完全統合 】

――これは“親子上場解消”ではない。物流の「最適化競争」の号砲である 2026年5月11日。 医薬品卸大手の メディパルホールディングスが、 日用品卸大手 PALTACを TOB(株式公開買い付け)により 完全子会社化すると発表しました。 買付価格:1株6650円 総額:…

【多業種物流儀⑥】アパレル物流 ――“売れ残った瞬間に価値が落ちる”時間制約型サプライチェーン

服は、軽いです。 壊れやすいわけでもなければ、 温度管理が必要なわけでもありません。 しかし―― アパレル物流は、物流の中でも極めて難しい部類に入ります なぜか。 “時間で価値が消える”からです ■ アパレルは「在庫」ではない 多くの人は、服をこう捉え…

【宅配にも“燃油サーチャージ”の時代へ 】――ヤマト・佐川が動いた理由は「燃料費」ではなく、“構造の限界”

2026年。 宅配業界に、 静かですが無視できない変化が出始めています。 ヤマト:法人向けで燃油サーチャージを検討 佐川(SGHD):導入検討を正式に言及 これまで、 航空 海運 では当たり前だった仕組みが、 ラストワンマイルにも入り始めようとしている た…

【磐越道・北越高校バス事故】――止められなかったのではない。“止める構造がなかった”

2026年5月6日。 福島県・磐越自動車道。 北越高校ソフトテニス部の生徒を乗せたマイクロバスが事故を起こしました。 生徒1名死亡 多数負傷 この事故を、 「不運だった」で終わらせてはいけません。 これは“起きるべくして起きた可能性がある事故”です ■ 時系…

【多業種物流儀⑤】医薬品物流――“命を止めない”ために、1℃だけでなく「1手順」も狂わせない世界

物流と聞くと、 トラック 倉庫 配送 を思い浮かべる方が多いと思います。 しかし―― 医薬品物流は、そのどれとも少し違います。 これは「物を運ぶ仕事」ではありません 「命の品質と安全性を守り続ける仕事」です ■ 医薬品物流は「製造の続き」である 医薬品…

【イラン“海を失う”という現実】――鉄道へ逃げた物流が示す、制裁時代の新しいルール

2026年4月。 イランは、米国による港湾封鎖によって、 これまでの物流前提を大きく崩されました。 これは単なる輸送トラブルではありません。 「海で運ぶ」という前提そのものが失われた という、構造変化です。 ■ すでに起きている現実 まず、数字を見てお…

【寄稿解説】なぜ私は「物流の主役はトラックではなく、倉庫になる」と書いたのか

「トラックを休ませた代償がこれですか?」 残業960時間規制で露呈した、物流が止まる“もう一つの現場”(Merkmal) - Yahoo!ニュース ――メルクマール寄稿で描いた、“2024年問題の本当の重心移動” 先日、 ビジネスメディア「メルクマール」に、 物流2024年問…

【豊田自動織機、IHI物流買収の“次の意味” 】

――5.9兆円TOBの先で始まる、「物流を止めない企業」への進化 2026年5月。 豊田自動織機が、 IHI傘下の「IHI物流産業システム」を子会社化すると発表しました。 表面的には、 自動倉庫 コンベヤー 冷凍冷蔵対応設備 搬送システム の強化に見えます。 しかし、…

【構造考察】ガソリン補助金1800億円。その本当の延命先はどこか

――政府が支えているのは「家計」ではない。“軽油で動く物流インフラ”である 経済産業省は5月7日、 燃料価格抑制のための政府補助金について、 2026年3月分の支出額が約1800億円だったと公表しました。 さらに、 4月末時点の基金残高は約9800億円。 しかし民…

【「ブルーカラービリオネア時代」は本当に来るのか 】

――AIが変えるのは“職種”ではない。「AIを扱える者」と「扱えない者」の階層である 【脱•幻想】ビリオネア論への冷や水 ――統計が語る、物流現場の「本当の立ち位置」 - 物流業界入門 最近、再び増えてきました。 「ブルーカラーの時代が来る」 「AIでホワイト…

【ロキソニン最大40%値上げの裏側】――「物流費高騰」は、どこまで価格転嫁されているのか

第一三共ヘルスケアが、 「ロキソニン」 「第一三共胃腸薬プラス」 「ミノン全身保湿ミルク」 など19品目を値上げすると発表しました。 値上げ幅は5〜40%。 近年では珍しくないニュースになりつつあります。 しかし今回、注目すべきなのはここです。 「物流…

【エアサスとは何か?】――“壊さず運ぶ”を実現する、振動制御インフラの正体

「エアサス」という言葉を聞くと、 高級車 カスタムカー 車高調整 をイメージする人も多いと思います。 しかし物流の世界において、エアサスは単なる快適装備ではありません。 “荷物の価値を壊さず運ぶための制御装置” です。 ■ そもそもサスペンションとは…

【多業種物流儀④】建築物流――「現場に間に合う」が最優先される、時間同期型サプライチェーンの正体

建築物流は特殊です。 単に「建材を運ぶ物流」ではありません。 そこでは、 足場材 鉄骨 石膏ボード 配管資材 電設資材 サッシ 天井材 屋根材 まで、 膨大な種類の重量物が、 別々のタイミングで現場へ流れ込みます。 しかも特徴的なのは、 “完成品”ではなく…

【なぜ“荷台で排尿”は起きたのか】――コープみらい事案が暴いた、物流の見えない限界

冷蔵品が汚損された。 原因は、配送中のドライバーによる不適切行為。 このニュースは強い違和感を残します。 「なぜそんなことが起きるのか?」 しかし本質はそこではありません。 なぜ“それをしてしまう環境”が成立していたのか ■ 事案の整理 コープみらい…

【構造考察】“待ち時間”は誰のコストか――2026年新設「取引環境改善コース」が突きつける、物流の責任再配分

2026年4月13日。 「働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)」の申請受付が開始されました。 一見すると、よくある助成金制度に見えるかもしれません。 しかしこれは、単なる補助金ではありません。 物流の“歪み”を、構造ごと修正しにきた制度です。…

【冷凍倉庫とは何か】――「−25℃の世界」で問われるのは、温度ではなく“時間”

冷凍倉庫と聞くと、単に「寒い倉庫」を想像される方も多いと思います。 しかし実態は違います。 そこは、 品質を守る場所であり、 食品の価値を止める場所であり、 そして物流全体のリズムを制御する装置でもあります。 ■ 冷凍倉庫の基本 温度帯を整理します…

【物流構造思想ワード⑩】設計責任

――なぜ物流は“現場”ではなく“設計”で決まるのか 物流の問題は、現場にある。 そう思われています。 人手不足。 非効率な作業。 遅延。 ミス。 しかし、ここまでの①〜⑨で見てきた通り、 それらはすべて「結果」に過ぎません。 ■ ①〜⑨で明らかになったこと こ…

【多業種物流儀③】食肉物流――“温度を制する者が品質を制する” 三温度帯をまたぐ最難関オペレーション

食卓に並ぶ、肉料理。 焼肉、ハンバーグ、総菜、缶詰。 そのすべては、見えないところで徹底された「温度管理」によって支えられています。 食肉物流とは、単なる食品輸送ではありません。 品質・安全・鮮度を“温度で設計する物流” そして今、この領域は物流…

【アマゾンが「運ぶ側」に回った日】――物流の主語が変わる瞬間

――フェデックス急落の本質は“競合出現”ではない。物流のルールそのものが書き換わる 2026年5月。 米Amazon が、 自社物流ネットワークを外部企業へ開放する方針を打ち出しました。 これを受けて、 FedEx、 UPS の株価は急落。 市場は即座に反応しました。 し…