【2025年9月】物流系アルバイト時給が平均3.8%増|人手不足と2024年問題が背景に
はじめに──物流現場の“時給上昇”は何を意味するのか?
2025年10月15日、リクルートグループのジョブズリサーチセンター(JBRC)が発表した調査によると、
2025年9月の物流系アルバイト・パートの募集時平均時給は、前年同月比で3.8%増加しました。
この上昇は、単なる物価連動ではなく、物流業界の構造的課題(人手不足・業務負荷・2024年問題)に対応するための“現場からのシグナル”と捉えるべきです。
1. 調査概要と主要データ
三大都市圏(首都圏・東海・関西)の平均時給
| 職種 | 平均時給 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| ドライバー・配送・デリバリー | 1,244円 | +3.6% |
| ドライバー(中型・大型) | 1,321円 | ▲0.4% |
| 物流作業(仕分け・梱包) | 1,255円 | +3.0% |
| 構内作業・フォークリフト | 1,235円 | +3.3% |
首都圏の平均時給
| 職種 | 平均時給 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| ドライバー・配送・デリバリー | 1,285円 | +3.5% |
| ドライバー(中型・大型) | 1,353円 | ▲0.8% |
| 物流作業 | 1,277円 | +3.0% |
| フォークリフト | 1,270円 | +3.4% |
2. 背景要因──なぜ時給が上がっているのか?
2-1. 物流2024年問題の影響
- 時間外労働規制によりドライバー不足が深刻化
- 配送遅延・荷役停滞を防ぐため、現場人材の確保が急務
- 時給上昇は“採用競争力”を高めるための施策
2-2. 業務負荷の増加
- EC拡大・即日配送ニーズにより、仕分け・梱包作業が増加
- フォークリフトや構内作業の技能者不足
- 高負荷業務への“対価調整”としての時給アップ
2-3. 地域間格差と都市部集中
- 首都圏では平均時給が1,300円超え
- 地方との格差が広がり、都市部への人材集中が加速
3. 現場への影響──採用・定着・教育の再設計が必要
3-1. 採用戦略の見直し
- 時給だけでなく福利厚生・勤務柔軟性・教育制度が差別化要因に
- 求人票の“見せ方”も重要(動画・SNS活用)
3-2. 定着率向上の施策
- 高時給でも定着しなければコスト増
- 作業負荷軽減(スマートスーツ・AMR導入)や心理的安全性の確保が鍵
3-3. 教育・育成の再設計
- 高時給=即戦力ではない
- 動画マニュアル・OJT・スキル認定制度の整備が求められる
4. 今後の展望──時給上昇は“物流の価値再評価”の兆し
4-1. 賃金上昇は“物流職の社会的価値”を高める
- 物流は「インフラ」から「価値創造」へ
- 高時給は“責任と専門性”の裏返し
4-2. 自動化・省人化とのバランス
- DX・ロボティクス導入が進む中でも、人の役割は残る
- 高時給人材を“協働パートナー”として位置づける必要
4-3. 地域別・職種別の時給格差に注目
- 地方拠点の採用難が続く中、地域別時給戦略が重要
- フォークリフト・中型ドライバーなどの技能職は個別対応が必要
まとめ──物流アルバイト時給上昇は“現場の声”である
✅ 2025年9月、物流系アルバイトの平均時給は前年同月比3.8%増
✅ 背景には2024年問題・業務負荷・採用難がある
✅ 採用・定着・教育の再設計が、今後の現場運営の鍵となる
物流現場の時給上昇は、単なる数字ではなく、現場の課題と変化の兆しを映す鏡です。
この動きを正しく読み解き、戦略的な人材設計と現場改善につなげることが、物流業界の持続可能性を左右します。