はじめに
2025年10月、NXHD（NIPPON EXPRESSホールディングス）は台湾北部・桃園市に新倉庫「桃園NEXT8」を開設しました。これは、東アジアにおける物流戦略の強化と、半導体・精密機器など高付加価値貨物の取り扱い拡大を目的とした重要な施策です。本記事では、倉庫の機能、戦略的背景、現場改善の取り組み、今後の展望までを深掘り解説します。
🏢 倉庫概要と立地の優位性
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 倉庫名 | 桃園NEXT8倉庫 |
| 所在地 | 台湾・桃園市 |
| 倉庫面積 | 約13,060㎡ |
| 開設日 | 2025年10月 |
| 運営法人 | NX台湾国際物流（NXHD現地法人） |
立地の強み
- 桃園国際空港から車で30分圏内
- 台北港・基隆港へのアクセスも良好
- 台湾北部の工業団地（新竹・台中）との連携が可能
🎯 倉庫の機能と役割
主な機能
- バッファ倉庫：輸出入貨物の一時保管・通関待ち対応
- 流通加工：ラベル貼付、セット組み、検品など
- 通関支援：電子通関システムとの連携による迅速処理
- ラストワンマイル配送支援：台湾全域への配送ネットワーク構築
これにより、荷主企業のSCM（サプライチェーンマネジメント）を支援する統合型物流拠点として機能します。
🌏 戦略的背景 ─ なぜ台湾なのか？
1. 半導体産業の中心地
台湾は世界最大級の半導体製造拠点を有しており、精密機器・電子部品の輸送ニーズが高い。これらは温度管理・衝撃対策・セキュリティが求められるため、専門性の高い物流が必要です。
2. 地政学的優位性
台湾は東アジアの中心に位置し、日本・中国・ASEAN諸国との中継拠点として最適。特に、日台間の越境ECやB2B物流の拡大に対応するためのハブ機能が求められています。
3. 現地企業との連携強化
NXHDは台湾企業との協業を進めており、現地対応力の強化とサービス品質の向上を図っています。
🧠 現場改善・DXの取り組み
主な施策
- WMS（倉庫管理システム）導入：リアルタイム在庫管理と作業指示の自動化
- RFIDタグ活用：貨物のトレーサビリティ強化
- AGV（自動搬送ロボット）導入：庫内作業の効率化
- ペーパーレス通関：電子通関書類による処理時間短縮
これらの施策により、庫内作業時間の20％削減、誤出荷率の50％低減を目指しています。
📊 KPIと成果指標
| 指標 | 目標値 | 備考 |
|---|---|---|
| 庫内作業時間 | 従来比20％短縮 | AGV・WMS活用による |
| 誤出荷率 | 0.05％以下 | RFIDタグによる精度向上 |
| 通関処理時間 | 平均1.5日以内 | 電子通関システム導入 |
| 配送リードタイム | 台北市内24時間以内 | ラストワンマイル体制強化 |
🔮 今後の展望と課題
展望
- 台湾南部（高雄）への拠点展開を検討中
- 医療機器・医薬品物流への対応強化
- 越境EC対応の自動化設備導入
課題
📝まとめ
NXHDによる「桃園NEXT8倉庫」の開設は、単なる倉庫増設ではなく、東アジア全体の物流最適化を見据えた戦略的な一手です。台湾という地政学的に重要な拠点で、半導体・精密機器など高付加価値貨物に対応する体制を整え、DXやKPI管理によって現場の生産性と品質を両立しています。 物流業界においては、単なる輸送効率だけでなく、拠点設計・通関対応・ラストワンマイルまでを含めた「統合型ソリューション」が求められる時代。今回の事例は、まさにその潮流を体現するものです。
物流現場に関わる方はもちろん、SCMやDXに関心のある方にとっても、今回の事例は「拠点戦略×現場改善×テクノロジー」の融合を学べる好材料です。今後の拠点設計や海外展開を考える際の参考として、ぜひ押さえておきたい内容です。
