2025年10月29日〜30日、大阪南港ATCホールにて開催された「運輸安全・物流DX EXPO」は、物流・運輸業界における“安全”と“デジタル変革(DX)”をテーマにした専門展示会として、多くの実務者・経営層の注目を集めました。
本記事では、展示会の全体像から注目セッション、出展ソリューション、現場改善のヒントまでを深堀で徹底解説します。
📌 展示会の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 運輸安全・物流DX EXPO in 大阪 2025 |
| 会期 | 2025年10月29日(水)〜30日(木) |
| 会場 | 大阪南港ATCホール |
| 主催 | 株式会社リックテレコム |
| 来場対象 | 運輸・物流業界の経営者、管理者、現場責任者、DX推進担当者 |
| 入場料 | 無料(事前登録制) |
🎯 展示会の目的と背景
2024年問題(時間外労働の上限規制)を経て1年、物流業界は「人手不足」「安全対策」「業務効率化」という三重苦に直面しています。
本展示会は、こうした課題に対し、“安全”と“DX”の両立を実現するための実践的なソリューションを共有する場として企画されました。
🧠 注目セミナー・講演ダイジェスト
1. 国土交通省 近畿運輸局 藤井嘉宣 氏
テーマ:自動車運送事業の運行管理と制度動向
→ 点呼・運行記録・健康管理の制度改正とその実務対応について解説。
2. 日本事故防止推進機構 上西一美 氏
テーマ:交通事故の再発防止と現場教育のあり方
→ 事故分析とヒューマンエラー対策、教育コンテンツのデジタル化事例を紹介。
3. 流通経済大学・物流改革セッション
テーマ:物流の未来と人材戦略
→ 若手人材の確保、教育、キャリアパス設計の重要性を提言。
4. フリーライター 橋本愛喜 氏
テーマ:現場取材から見える物流のリアル
→ 現場の声をもとに、制度と実態のギャップを浮き彫りに。
🧪 展示・体験ブースの見どころ
🔹 ドライブシミュレーター・VR安全教育
事例:A運送(大阪府)
→ VR教材を導入し、ヒヤリハット体験を再現。新人教育の定着率が2倍に向上。
🔹 点呼ロボット・健康管理アプリ
事例:B物流(兵庫県)
→ 点呼業務をAIロボットに置き換え、1日あたり30分の業務削減と記録ミスゼロを実現。
🔹 運行管理・配送最適化ソリューション
事例:C運輸(京都府)
→ 配車AIを導入し、燃料費を月間12%削減。ドライバーの拘束時間も平均1時間短縮。
🔹 労務管理・勤怠DX
事例:D倉庫(奈良県)
→ 勤怠アプリで拘束時間を自動集計。監査対応がスムーズになり、是正勧告ゼロに。
🏭 現場改善に役立つDXソリューション
| 分野 | ソリューション例 | 効果 |
|---|---|---|
| 点呼・健康管理 | 点呼ロボット、スマホ点呼、AI顔認証 | 点呼業務の省力化、記録の正確性向上 |
| 運行管理 | GPS動態管理、配車支援AI | 配送効率向上、遅延リスクの可視化 |
| 安全教育 | VR教材、eラーニング | 教育の標準化、事故リスクの低減 |
| 労務管理 | 勤怠アプリ、拘束時間アラート | 法令遵守、過重労働の抑制 |
| 車両管理 | 故障予知、燃費分析 | メンテナンス最適化、コスト削減 |
📈 展示会から見えた業界トレンド
✅ 1. 安全と効率の両立が主戦場に
「安全対策=コスト」ではなく、「安全=効率化・利益向上」という視点が浸透。
点呼・運行・教育のデジタル化が進み、“安全DX”が経営戦略の一部に。
✅ 2. 中小企業のDX導入が加速
クラウド型・サブスク型のソリューションが増加し、初期投資を抑えた導入が可能に。
「まずは1拠点から」「点呼だけ導入」など、段階的な導入事例が紹介された。
✅ 3. 人材確保と教育がカギ
若手ドライバーの確保、定着、教育が業界共通の課題。
VR教育やeラーニングの活用で、属人化を防ぎつつ教育の質を担保する動きが加速。
✅ 4. サステナビリティとESG対応
CO2排出量の可視化、エコドライブ支援、EVトラックの導入など、環境対応も重要テーマに。
荷主企業からの要請に応える形で、“見える化”と“報告性”が求められる時代へ。
🧩 来場者の声と現場のリアル
- 「現場で使えるDXツールが多く、導入のイメージが湧いた」
- 「セミナーが制度対応に直結していて、すぐ社内に共有できる」
- 「他社の取り組みを知ることで、自社の課題が明確になった」
- 「点呼や健康管理の自動化は、まさに今必要なテーマだった」
🔮 今後の展望と課題
| 項目 | 展望・課題 |
|---|---|
| 展示会の拡張 | 地方開催やオンライン連携による情報格差の解消 |
| 導入支援 | 中小企業向けの補助金・導入サポートの強化 |
| 教育の標準化 | 教材の共通化・業界横断での教育プラットフォーム構築 |
| ESG対応 | サプライチェーン全体での環境負荷の見える化と報告体制 |
🧠 まとめ|“安全DX”は物流の未来をつくる
「運輸安全・物流DX EXPO」は、単なる展示会ではなく、業界の“今”と“これから”を体感できる実践型イベントでした。
特に、安全・健康・業務効率化を同時に実現するDXソリューションが多く紹介され、物流現場の変革に向けたヒントが満載。
2024年問題を経て、物流業界は「守りの安全」から「攻めの安全DX」へと進化しています。
この流れを加速させるには、現場と経営、制度と実務、アナログとデジタルをつなぐ視点が不可欠です。
次回の展示会ではさらに多様な業種・地域・規模の企業が参加し、“物流の未来を共創する場”としての進化が期待されます。
📌 関連リンク
- 公式サイト(リックテレコム)