――代行屋は死に、設計者は生き残る。2026年「大淘汰」の幕開け
東京商工リサーチの最新データが、経営コンサルティング業界の惨状を浮き彫りにしました。 2025年のコンサルタント倒産件数は170件と、過去20年間で最多を更新。その9割が負債1億円未満の小規模事業者です。
このニュースを「他業界の不況」と聞き流している物流マンがいるならば、その認識は極めて危険です。 なぜなら、この「淘汰の構造」は、今まさに私たちの物流現場で起きていることと完全に一致しているからです。
現場経験と構造設計士の視点から、この倒産劇の裏側にある「物流へのブーメラン」を読み解きます。
1. 「申請代行・DXブーム」の終焉と物流現場のリアル
今回の倒産急増の背景には、コロナ禍の補助金申請代行や、中身の伴わないDXブームの一巡があります。
物流業界でも、2024年問題に乗じて「補助金を取りましょう」「とりあえずITを入れましょう」と提案してきたコンサルタントが溢れました。しかし、現場の伝票1枚、パレット1枚の動線を変えられない「口先だけのDX」は、すでに経営者に見透かされています。
- ITセキュリティ・事業承継などの専門性なき者の淘汰: 単なる資料作成や一般的な経営相談は、すでに生成AIが代替し始めています。
- 物流視点での断罪: 現場の泥にまみれず、エクセル上の数字だけを弄ぶコンサルタントに、2026年の荒波を越える「設計図」は描けません。
2. 【2026年1月1日】行政書士法改正という「最後通告」
ここが最も重要な点です。 2026年1月1日、行政書士法の改正により、行政書士以外が報酬を得て行う補助金申請代行の規制が強化されました。
これまで「物流効率化補助金」などの申請支援で食い繋いできた無資格のコンサルタントは、法的に活動の場を奪われ、大きな打撃を受けることになります。
- 「代行」から「創造」へ: 手続きの代行で稼ぐモデルは死にました。今、CLO(物流統括管理者)が求めているのは、法規制をクリアした上で「いかに働かせずに回すか」という価値創造の設計です。
3. 倒産企業の8割は「1千万円未満」のひとり事務所
統計によれば、倒産したコンサルタントの約8割が資本金1千万円未満、9割以上が従業員5人未満の小規模事業者です。
これは物流業界における「庸車(協力会社)頼みの小規模運送店」の構図と酷似しています。 独自の「構造設計スキル」や「高度な専門性」を持たない小規模プレイヤーは、価格競争の波に飲まれ、販売不振(案件獲得失敗)によって消えていく運命にあります。
4. 物流構造設計士が生き残るための「3つの絶対条件」
激化する生き残り競争の中で、私たちが問われているのは以下の3点です。
- AIに代替不可能な「現場実装能力」: AIは綺麗な資料を作りますが、フォークリフトの回転半径や、現場作業者の心理的抵抗までは計算できません。
- 高度化する顧客ニーズへの課題解決: 単なるコスト削減ではなく、PCF(カーボンフットプリント)算出やCLO体制の構築など、より高度な専門性が求められています。
- 顧客の信頼を得る「実務経験」: 現場経験に基づいた「血の通った設計図」こそが、最強の差別化要因になります。
結論|未来を「設計」できない者は、構造の一部として消費される
コンサルタントの倒産ラッシュは、決して他人事ではありません。 「誰にでも言えること」を「誰にでもできる方法」で伝えているだけの存在は、2026年の物流地図から消去されます。
必要なのは、役職や肩書きではなく、顧客の信頼を得られる圧倒的な専門性です。
倒産件数の数字に怯えるのではなく、自らの設計スキルの価値を問い直す。
2026年、設計図を書き換える準備は、できていますか?
【データ出典】 本考察は、2006年から2025年までの日本産業分類「経営コンサルタント業」の倒産集計データを基に分析しています。
【お知らせ】 物流構造設計士として、13年の知見を注ぎ込んだ業界入門書、Kindle本『物流の教科書』を出版しました。制度を武器に変え、現場の誇りを取り戻すための「具体的な設計図」を、ぜひ手に取ってください。