
2026年1月19日、日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が会員向けに行ったアンケート結果を発表しました。
この調査結果からは、現場が直面している「コスト高騰」と、それを打開するための「DX・生成AI」への強い期待が浮き彫りになっています。
1. 現場の悲鳴が数字に。「物流コスト適正化」が最重要課題
調査によると、最も多くの企業が挙げた課題は「物流コスト適正化(改善)」で57.3%に達しました。
- 2年連続の1位:前年の53.4%からさらに増加しています。
- 背景:燃料高、人件費高騰、そして「2024年問題」に伴う輸送費の上昇。もはや現場の努力だけで吸収できるレベルを超え、荷主との価格交渉(適正化)が経営の最優先事項となっています。
2. 物流DXと「生成AI」の活用が加速
注目すべきは、テクノロジーへの投資意欲の高さです。
■ 生成AIの活用状況
- 導入状況:既に25%(4社に1社)が試験導入を含め実施済み。
- 今後の意向:9割以上が「積極的に拡大したい」「一部拡大したい」と回答。
物流現場における生成AIは、配車計画の最適化、マニュアルの自動作成、問い合わせ対応、さらには膨大な在庫データの分析など、「人が考え、判断する時間」を削減する強力な武器として期待されています。
3. 「改正物流効率化法」への対応は待ったなし
法改正への理解度は9割を超え、実務での対応も急速に進んでいます。具体的に取り組まれている施策の上位は以下の通りです。
- 荷待ち・荷役時間の削減(77.7%)
- 社内教育・周知活動(55.3%)
これは、トラックドライバーを「待たせない」「作業させない」というホワイト物流の徹底が、企業の存続条件になったことを示しています。
4. 現場目線での考察:データと「現実」のギャップをどう埋めるか
今回の調査結果を、日々「倉庫がパンパンだ」「営業が無理を言う」と戦っている現場の視点で見ると、以下の戦略が見えてきます。
① 「コスト適正化」を交渉の盾にする
57.3%の企業が課題としている事実は、「値上げや条件変更をお願いするのは、業界のスタンダードである」という強力な根拠になります。「昔はもっと入った」と言う営業に対し、このJILSのデータを示しながら、「今の時代、詰め込みすぎによる効率悪化はコスト増そのものである」と説得する材料に使えます。
② 生成AI・デジタル化で「判断」を自動化する
人手不足で1人あたりの負担が増える中、AIを活用して「出荷順の最適化」や「在庫配置のシミュレーション」を行うことは、もはや贅沢ではなく生存戦略です。
まとめ:2026年は「デジタル武装」した物流が勝つ
JILSの調査が示す通り、2026年は「法対応をクリアしつつ、AIやDXでコストを抑制する」企業と、そうでない企業の二極化がさらに進むでしょう。
人手不足倒産が過去最多を更新する中、現場の「勘」と「根性」に頼る物流から、データとテクノロジーに基づいた「スマートな物流」への転換が急務です。
参考リンク
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