物流業界入門

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【CLO特集第2回目】なぜ日本企業にCLOは根付かなかったのか?

――100年続いた「責任の不法投棄」を解剖する

CLO(物流統括管理者)の義務化を前に、多くの企業が「適任者がいない」「制度が急すぎる」と戸惑いを口にしています。

しかし、本稿ではあえて視点を変えます。

日本企業にCLOが存在しなかったのは、偶然ではありません。 CLOという役割を必要としない構造を、企業自身が長年にわたり選び続けてきた結果です。

今回は、物流がどのようにして経営から切り離され、「便利な調整弁」として扱われてきたのか。その構造を、歴史と組織設計の観点から整理します。


1. 「物流=現場部門」という思考停止の起源

日本で鉄道網が整備され、トラック輸送が産声を上げた1920年代。
日本の産業構造は、「生産」と「販売」を最優先に設計されました。

このとき物流は、商流(売買)に付随する「商従」という概念で位置づけられます。
つまり、物流は価値を生む主体ではなく、売買が成立した後に従属的に発生する機能として固定されました。

この整理は制度や法律に明文化されたものではありません。
しかし、その後の企業組織設計・業務分掌・評価制度において、暗黙の前提として100年近く温存されてきました。

日本の産業構造において、物流は長らく主役ではありませんでした。

  • 商社・メーカーは「作る」「売る」を担い、
  • 小売は「並べる」「回す」ことに集中する。

物流は、それらの活動の後始末として扱われてきました。
「売れれば、あとは現場が何とかする」
この発想の下で、物流は戦略ではなく事後処理として位置づけられます。

経営の視界に物流が入るのは、コスト削減を迫るときか、トラブル対応で謝罪が必要なときだけ。
この100年の積み重ねが、CLOという“意思決定者”の育成余地を奪ってきました。


2. 商社・メーカー・小売が作った「責任の集積地」

日本の商習慣は、結果として物流を「責任の集積地」として機能させてきました。

  • 営業が約束した無理な納期
  • 製造が抱えた過剰在庫
  • 小売が要求する非効率な納品条件

それぞれの部門が、自らのKPIを守るために処理しきれなかった負荷を、物流に集約してきたのです。

物流現場が担っていたのは、経営判断ではありません。 部門間で放置された責任を、黙って処理する役割でした。


3. 責任はあるが、権限が存在しないという構造欠陥

日本企業の物流が抱える最大の問題は、ここにあります。

  • 止めるな
  • コストを上げるな
  • ミスをするな

これらの責任を負わされながら、

  • 投資判断の権限
  • 営業条件を断る権限
  • サービス設計を変える裁量

は、物流には与えられてこなかった。 責任と権限が分断された組織から、意思決定者が育つことはありません。

CLOが生まれなかったのではなく、生まれようのない環境が維持されてきたのです。


結論:2026年は、この構造が否定される年

これまで日本企業は、この構造を「現場の努力」「献身」という言葉で成立させてきました。 しかし、2024年問題、そして2026年のCLO制度は、この曖昧さを制度として否定しに来ています。

人材がいないのではありません。 人材が育たない構造を温存してきたことが、今、問われているのです。

物流を経営の議題に戻す。 それは、放置してきた責任を、経営自身が引き取ることに他なりません。


この連載を読むべき人

  • 物流の議論が、いつも「現場対応」で止まっていると感じている方
  • 責任だけを負わされ、意思決定から遠ざけられている物流責任者の方
  • 2026年までに、自社の責任構造を再設計したいと考える経営層の方

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