物流業界入門

物流業界の基礎から最新トレンドまで、現場経験を活かしてわかりやすく解説!

【ロジスティクススクール構想】―― 人手不足対策は「採用」ではなく「育成」から始まる

物流人材の不足が慢性化するなか、
物流不動産・輸配送・人材分野の事業者が連携し、人材を“体系的に育てる”試みが動き出しました。

イーソーコグループ、K.U.S.ロジスティクス・サポート、プチジョブの3社は、
物流関連資格の取得を支援する「ロジスティクススクール(仮称)」を、2028年4月に東京で開校する計画を発表しています。

通信制高校と連携し、高校卒業資格と物流系の専門資格を同時に取得できるという点は、
これまでの物流業界にはほとんど存在しなかったアプローチです。


なぜこの取り組みは「筋が良い」のか

この構想が評価できる理由は明確です。

多くの人材施策が、 - 人が来ない
- だから条件を上げる
- それでも来ない

という採用の堂々巡りに陥る中で、このスクールは発想が逆だからです。

「物流を職業として選ばせる前に、理解させる」

この一点に、きちんと向き合っています。

物流業界はこれまで、 - 入ってから覚えろ
- 現場で見て盗め
- 合わなければ辞めればいい

という世界でした。
その結果、若年層から“選ばれない産業”になったのが今です。


物流の全体像を教える、という決定的な違い

ロジスティクススクールで想定されているのは、
単なる作業教育ではありません。

  • ロジスティクス管理
  • 現場オペレーション
  • フォークリフト運転技能
  • 宅地建物取引士など不動産系資格

つまり、

運ぶ・保管する・設計する・管理する

という物流の全体像を、若年層のうちから体系的に学ばせる構成です。

これは極めて重要です。

なぜなら現在の物流現場は、 - ドライバーだけ足りない
- 倉庫作業者だけ足りない

のではなく、

「現場と経営をつなげられる人材」が決定的に足りない

からです。


改正物流法とCLO時代を見据えた人材投資

2025年・2026年に施行される物流関連2法により、
一定規模以上の荷主にはCLO(物流統括管理者)の選任が義務化されます。

しかし現実には、

  • CLOを任せられる人材がいない
  • 現場しか知らない
  • 経営の言葉が話せない

という企業が大半です。

このスクール構想は、
将来のCLO候補を“外から引っ張る”のではなく、“内側で育てる”発想に近い。

これは短期的な人手不足対策ではなく、
10年スパンの産業設計です。


物流不動産・輸配送・人材が揃う意味

今回の特徴は、
物流不動産(イーソーコ)
輸配送・現場設計(KUSS)
人材(プチジョブ)
が同じテーブルについた点です。

これは単なる教育事業ではありません。

  • 倉庫はどう設計されるべきか
  • その中で人はどう動くのか
  • どんなスキルが必要なのか

一気通貫で教えられる体制です。

現場と理論が分断されてきた物流業界において、
これは意外なほど希少な取り組みです。


課題があるとすれば「時間がかかる」こと

もちろん、この取り組みは即効性はありません。

  • 成果が出るまで数年
  • 即戦力不足は解消しない
  • 途中で折れやすい

それでもなお、
やらなければ永遠に解決しない類の課題でもあります。

人が足りないのではなく、
人を育ててこなかったツケを、いま払っているだけだからです。


まとめ|これは「人手不足対策」ではなく「産業再設計」

ロジスティクススクール構想は、

  • 採用施策でも
  • イメージ戦略でもなく

物流という産業を、次の世代に引き継ぐための設計図

だと感じます。

物流は、
「誰でもできる仕事」ではなく、
「学ぶ価値のある専門職」である。

その前提を、ようやく業界が自ら示し始めた。
そう評価してよい取り組みだと思います。