
――2026年、物流インフラは「補正頼み」から「国家の背骨」へ
2026年2月20日、高市早苗首相が行った施政方針演説が、大きな注目を集めています。
政治ニュースとしては「積極財政」や「経済安全保障」が主な論点ですが、物流に関わる経営者、そしてCLO(物流統括管理者)の視点で見ると、見逃してはならないポイントがあります。
それは、第2章「経済力」に込められた
「予算の作り方そのものを変える」という明確な意思表示です。
これは、日本の物流を支える“OS”を書き換える、極めて重要な転換点だと考えます。
1.「補正前提」からの脱却が意味するもの
高市首相は演説の中で、
毎年、補正予算が組まれることを前提とした財政運営と決別する
と明言しました。
これまで物流分野では、
- 物流DX補助金
- 自動倉庫・省人化投資支援
- モーダルシフト関連施策
の多くが年度後半の補正予算頼みでした。
その結果、企業側も
「補助金が出たら動く」
「今年は様子見」
という場当たり的な投資判断になりがちでした。
しかし今後は、
- 当初予算での措置
- 複数年度にわたる基金化
- 継続前提の投資枠設定
が基本方針になります。
CLO視点での意味
これは、単なる予算テクニックの話ではありません。
- 3年〜5年スパンで物流戦略を描ける
- 拠点再編・自動化を「計画」として決断できる
- フィジカルインターネット参加の検討が現実になる
つまり、物流が「思いつきの改善」から「経営戦略」に格上げされるということです。
2.物流は「成長投資」ではなく「危機管理投資」へ
今回の施政方針で特徴的だったのが、「危機管理投資」という言葉の多用です。
- 経済安全保障
- サプライチェーン強靭化
- 国土強靭化
これらと並ぶ形で、物流も位置付けられています。
これは裏を返せば、
物流が止まることは、国家リスクである
と政府が公式に認めた、ということでもあります。
物流安全保障という発想
これまで物流は、
- コスト削減の対象
- 効率化の余地
- 外注して見えなくする領域
として扱われがちでした。
しかし今後は、
- 災害時に止まらないか
- 国際情勢が荒れても回るか
- 人手不足でも維持できるか
という安全保障レベルの評価軸で見られるようになります。
物流投資が「削る対象」ではなく、
国費を投じてでも守るインフラへと格上げされたと読むべきでしょう。
3.深読み:2026年4月「CLO義務化」への布石
高市首相は、連立政権合意に基づき政策を一貫して実行すると述べました。
ここで注目すべきは、
- 規制改革(責任の明確化)
- 積極財政(投資の裏付け)
この2つが同時に進んでいる点です。
物流の文脈に落とすと、
- CLO選任の実質義務化(規制)
- 物流投資の当初予算・多年度化(財政)
が、ワンセットで進む可能性が高いと考えられます。
「責任者だけ置いて、金は出さない」
という構図ではありません。
責任を課す代わりに、投資環境も整える。
その準備が、今回の施政方針にはっきりと表れています。
結論|政治は動きました。次は経営の番です
予算の予見可能性が確保されるということは、
経営側が
お金がないからできない
補助金が分からないから先送りする
と言い訳できなくなる、ということでもあります。
政府は、複数年度・別枠という形で
物流を「国家の背骨」として支える覚悟を示しました。
であれば、企業側も問われます。
- 自社の物流OSは、10年前のままではないか
- CLOは名義だけの存在になっていないか
- 「止まらない物流」を本気で設計しているか
政治は動きました。
次に動くべきは、経営、そして物流を預かる私たち自身です。