LOGISTICS TODAYは25日、
「荷待ち荷役『2時間ルール』直前対策会議」を開催しました。
2026年4月、改正物流関連二法の本格施行。
いよいよ「1運行あたり荷待ち・荷役2時間以内」というルールが、
努力目標ではなく“監視と是正の対象”になります。
この会議は、制度対応としては正しい。
しかし、現場と向き合ってきた立場から言えば、
まだ一段、踏み込みが足りないと感じます。
1|4年間で「1分」しか縮まらなかった現実
モデレーターの鶴岡昇平氏が示した数字は、
この問題の深刻さを端的に表しています。
- 2020年度:3時間3分
- 2024年度:3時間2分
4年かけて、改善はたったの1分。
これは努力不足ではありません。
構造が間違っている、という結果です。
現場はもう、できることはやっています。
それでも変わらないのは、
「現場努力ではどうにもならない場所」に
ボトルネックがあるからです。
2|データが取れない理由は「ITが弱い」からではない
会議では、
デジタコやスマホアプリによる記録が
3割しか残らない“歯抜け状態”になる問題が指摘されました。
ここで重要なのは原因です。
ドライバーがサボっているからではない
操作教育が足りないからでもない
現場に余白がないのです。
- 荷待ちで苛立つ
- 次の運行が詰まっている
- 荷主との関係性にも気を使う
その状態で
「正確に入力してください」は、現実的ではありません。
3|自動化提案は正しい。だが“ゴール”ではない
ETC、車番認識、GPS、ジオフェンス、AI画像解析。
今回提示されたソリューションは、いずれも方向性として正解です。
「人を介さず、100%近い精度でデータを取る」
これは絶対条件です。
ただし、ここで止まると失敗します。
全数データは“盾”であって、“剣”ではない
データを集めただけでは、
荷待ちは1分も減りません。
4|本当に効く対策は、もっと泥臭い
現場を長く見てきた立場から言います。
次にやるべき対策は、ほぼ決まっています。
① 荷主別・曜日別・時間帯別「赤点表」の作成
- 平均ではなくワースト20%だけを見る
- 改善対象を限定する
② バースではなく「前工程」を疑う
- 書類準備
- ピッキング完了タイミング
- 検品フロー
荷待ちの7割は、バース外で起きています。
③ 「待たせた側」に改善コストを可視化する
- 人件費
- 車両拘束コスト
- 次便への影響
感情ではなく、数字で突きつける。
④ 改善しない荷主は「静かに後回し」にする
これは言いづらいですが、現実的な手段です。
- 時間指定の緩和交渉
- 料金条件の見直し
- 最悪の場合、取引縮小
全荷主と平等に付き合う時代は終わっています。
5|2時間ルールは「守るもの」ではない
このルールを
「違反したら指導されるから守るもの」
と捉えた瞬間、現場は疲弊します。
本質は逆です。
2時間ルールは、
おかしな取引関係を是正するための“武器”
- 待たせることがコストになる
- 曖昧さが許されなくなる
- 物流が“後工程”でなくなる
そのための制度です。
結論|26年4月は、通過点にすぎない
26年4月はゴールではありません。
「数字で殴れる物流」への入口です。
- 全数データを持つ
- ワーストに集中する
- 改善しない相手とは距離を調整する
ここまでやって、ようやく
「2時間」が現実の数字になります。
現場は、もう覚悟しています。
次に問われるのは、
荷主と元請が、
本当にこの現実を引き受ける覚悟があるか
それだけです。