
ここまでの特集では、物流を
運送
でも
倉庫作業
でもなく
責任構造
として読み解いてきました。
そして物流の本質は
荷物を動かすこと
ではなく
時間を設計すること
であるとも書いてきました。
では、その構造を理解した人間が
実際の企業の中で何をすべきなのか。
ここで登場するのが
CLO(物流統括管理者)
という役割です。
多くの企業では、この役割が曖昧なままになっています。
物流の問題は理解した
しかし経営に対して何を報告すればいいのか
ここが整理されていないのです。
物流KPIはそのままでは経営に届かない
物流現場には多くの指標があります。
- 積載率
- 在庫回転率
- 作業生産性
- 待機時間
- 配送コスト
しかしこれらをそのまま経営会議に持ち込んでも
多くの場合、議論は深まりません。
なぜなら経営が見ているのは
営業利益
↓
資本効率
↓
キャッシュフロー
だからです。
つまり
物流KPI
と
経営指標
の間には
言語の断絶
があります。
この断絶を埋めることこそ
CLOの最初の仕事
です。
CLOの役割は「構造の翻訳者」
物流統括管理者の仕事は
現場管理
ではありません。
構造の翻訳
です。
物流現場で起きている現象を
物流指標
↓
構造問題
↓
経営影響
という形に整理することです。
例えば
積載率が低い
↓
出荷の分散
↓
輸送回数増加
↓
物流費増大
↓
営業利益圧迫
待機時間が長い
↓
受付責任の空白
↓
車両回転率低下
↓
必要車両増加
↓
輸送能力低下
在庫日数が長い
↓
SKU構造の複雑化
↓
在庫増加
↓
資金拘束
↓
資本効率悪化
こうして初めて
物流の話
が
経営の話
になります。
最初に見るべきKPIは「待機時間」
序章でも触れましたが、
現場の構造を最も分かりやすく示す指標があります。
それが
待機時間
です。
トラック到着
↓
受付
↓
荷降ろし待ち
この時間が長い企業では、ほぼ例外なく
責任の空白
が存在します。
誰が呼ぶのか
誰が指示するのか
誰が順番を決めるのか
これが曖昧なまま現場に丸投げされているのです。
つまり待機時間とは
作業問題
ではなく
責任構造の歪み
なのです。
CLOはこの数字を見て
作業効率
ではなく
構造の問題
を読み取らなければなりません。
CLOが作るべき「物流リスク報告書」
ここで重要になるのが
物流リスク報告書
です。
これは単なる業務レポートではありません。
物流構造が
企業経営に与える影響
を整理した報告書です。
例えば
待機時間増加
↓
配送能力低下
↓
納品遅延
↓
販売機会損失
積載率低下
↓
輸送回数増加
↓
物流費増大
↓
利益率悪化
在庫日数増加
↓
資金拘束
↓
キャッシュ圧迫
↓
ROIC低下
この形で提示すると
物流問題
ではなく
経営リスク
として認識されます。
KPIは「構造の温度計」
物流KPIの本質は
評価
ではありません。
構造の温度計
です。
待機時間
↓
受付構造
積載率
↓
出荷構造
在庫日数
↓
商品構造
つまり
KPI
↓
物流構造の可視化
なのです。
CLOはこの数字を通して
企業の供給構造
を読み解く役割を持っています。
CLOとは「供給責任の経営管理者」
CLOという役職は
物流部長
ではありません。
本来の役割は
物流
↓
在庫
↓
供給能力
を統合し、
企業の供給責任を
経営レベルで管理することです。
そのためには
現場指標
を
経営言語
へ翻訳する力が不可欠になります。
CLO特集外伝①では
物流KPI
と
経営指標
の関係を見てきました。
しかし物流構造を本当に変えようとすると、
次に必ず壁になります。
それが
社内の慣習
です。
営業の販売戦略
仕入れ先の取引慣行
商品部のSKU政策
これらが複雑に絡み合い、
物流の動線は固定されていきます。
次回の外伝では
動線設計の外科手術
として、
不採算SKU
物流拠点
供給動線
をどのように再設計するのかを解説します。