物流危機の原因としてよく挙げられるのが
- ドライバー不足
- 2024年問題
- EC需要の増加
です。
確かにこれらは重要な要素です。
しかし、物流現場をよく観察すると
もう一つの本質的な問題が見えてきます。
それは
物流は常に「渋滞」している
という事実です。
道路だけではありません。
物流には
- 倉庫の渋滞
- トラックバースの渋滞
- 荷降ろし待ち
- 配達ルートの渋滞
といった
目に見えない渋滞
が存在しています。
つまり物流問題の本質は
輸送力不足ではなく
物流システムの渋滞
なのです。
1|トラックは走っている時間より「待っている時間」が長い
物流の現場ではよく知られていることがあります。
それは
トラックは走っている時間より待っている時間の方が長い
ということです。
例えば典型的なケース。
トラック到着
↓
受付
↓
荷降ろし待ち
↓
作業開始
この間に
1〜2時間待機
することは珍しくありません。
さらに
- 倉庫の作業待ち
- 積み込み順番待ち
- 書類処理待ち
などが重なります。
その結果
トラックが動いている時間
↓
全体の半分以下
というケースも少なくありません。
つまり
物流は
輸送が遅いのではなく
待ち時間が長い
のです。
2|EC拡大が生んだ「配送渋滞」
もう一つの渋滞が
配送ルートの渋滞
です。
EC市場は急拡大しています。
例えば
Amazon
では
- 当日配送
- 翌日配送
- 時間指定配送
が当たり前になりました。
これは消費者にとっては便利ですが
物流の側から見ると
配送密度の爆発
を意味します。
例えば都市部では
同じマンションに
- Amazon
- 楽天
- EC直送
- フリマ配送
など
複数の荷物が届きます。
結果として
配送トラックが街中に集中
します。
これは
都市型物流渋滞
とも言える現象です。
3|「荷物の爆発」を起こしたSHEINモデル
ECの中でも特に象徴的なのが
SHEIN(シーイン)
の物流です。
SHEINは
中国 → 日本
へ商品を
直接配送
するモデルを採用しています。
つまり
- 海外倉庫
- 越境EC
- 個別配送
という形です。
このモデルの特徴は
小口配送の爆発
です。
1件あたりの荷物は小さい。
しかし
配送件数は膨大になります。
結果として
宅配ネットワークには
大量の小口荷物
が流れ込みます。
これは物流にとって
最も効率が悪い輸送形態
です。
4|宅配ネットワークの限界
日本の宅配ネットワークは
- ヤマト運輸
- 日本郵便
- 佐川急便
などの大手企業によって支えられています。
例えば
ヤマト運輸
は全国に
- ベース(大型拠点)
- センター(地域拠点)
を配置し
巨大な配送ネットワーク
を構築しています。
一方
日本郵便
は
郵便局ネットワークを活用し
全国配送を実現しています。
しかしEC拡大によって
このネットワークには
巨大な負荷
がかかっています。
具体的には
- 配送量の急増
- 再配達問題
- 配達時間指定
- 小口配送の増加
です。
その結果
配送現場では
ルートが渋滞
します。
つまり
物流は
道路だけでなく
ネットワーク全体で渋滞
しているのです。
5|物流渋滞の本当の原因
ここまでを見ると
物流問題の本質は
ドライバー不足
ではなく
構造問題
であることが分かります。
具体的には
- 納品時間の集中
- 倉庫バース不足
- 小口配送爆発
- 長距離直行輸送
などが
物流の流れを詰まらせています。
これはまさに
都市の交通渋滞
と同じです。
道路が足りないのではなく
交通が集中することで
渋滞が起きます。
物流も同じです。
6|中継輸送は「物流渋滞」の解消策になるのか
政府は現在
中継輸送
を推進しています。
これは
長距離輸送を
複数のドライバーで分担する仕組みです。
例えば
九州 → 関西
関西 → 関東
という形で輸送を分割します。
これは確かに
ドライバー負担軽減には効果があります。
しかし
物流渋滞という視点から見ると
それだけでは不十分
です。
なぜなら
問題の多くは
輸送ではなく拠点
で起きているからです。
つまり
- 倉庫設計
- 配送ネットワーク
- 在庫配置
など
物流構造そのもの
を見直す必要があります。
7|CLO時代の物流とは何か
ここで重要になるのが
物流統括管理者(CLO)
です。
CLOの役割は
単なる物流コスト削減ではありません。
本来の役割は
物流構造の設計
です。
例えば
- 拠点配置
- 在庫配置
- 配送ネットワーク
- 輸送モード
などを
企業全体の視点で設計します。
つまり
物流は
荷物を運ぶ仕事
ではなく
物流の流れを設計する仕事
なのです。
結論|物流問題の正体は「渋滞」
物流危機は
ドライバー不足だけでは説明できません。
本質は
物流の流れが詰まっている
ことです。
つまり
物流問題とは
輸送力不足ではなく
物流渋滞
なのです。
そしてこの問題を解決するためには
- 拠点設計
- ネットワーク設計
- サプライチェーン設計
といった
物流構造の再設計
が必要になります。
物流の未来を決めるのは
トラックの台数ではありません。
物流の流れをどう設計するか
そこにこそ
これからの物流改革の本質があります。