物流は世界中に広がっています。
コンテナ船
タンカー
航空貨物
トラック輸送
これらが組み合わさることで
現代のサプライチェーンは成り立っています。
しかし、その巨大な物流ネットワークには
意外なほど脆弱な部分があります。
それが
物流チョークポイント
です。
チョークポイントとは
地理的に通過ルートが限られ
そこが止まると物流全体が止まる場所
のことを指します。
言い換えれば
世界物流の「ボトルネック」
です。
そして世界には
いくつかの重要なチョークポイントが存在しています。
1|ホルムズ海峡
日本のエネルギー物流の生命線
最も有名なチョークポイントの一つが
ホルムズ海峡
です。
今、中東有事で注目を集めていて、本ブログでも何回も取り上げています。
【ホルムズ海峡が止まると日本は止まる】 ――出光エチレン停止が示す「物流国家の致命的リスク」 - 物流業界入門
ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ
幅およそ50kmほどの海峡ですが、
ここは
世界最大級の石油輸送ルート
です。
世界の原油海上輸送の
約2割がこの海峡を通過しています。
そして日本にとっては
さらに重要です。
日本の原油輸入の
約9割
が中東依存です。
つまり
ホルムズ海峡が止まる
↓
日本のエネルギー物流が止まる
という構造になります。
実際、過去にも
- タンカー攻撃
- 機雷問題
- 軍事緊張
などで緊張が高まったことがあります。
そして、現在進行形で緊迫な状態でもあります。
この海峡は
エネルギー物流の最大チョークポイント
と言えるでしょう。
2|スエズ運河
世界コンテナ物流の動脈
もう一つの象徴的なチョークポイントが
スエズ運河
です。
地中海と紅海を結ぶこの運河は
ヨーロッパ
中東
アジア
を結ぶ重要ルートです。
2021年には
巨大コンテナ船
エバーギブン号
が座礁し、
6日間運河が封鎖
されました。
その結果
世界の物流に
大きな影響が出ました。
- 数百隻の船が滞留
- 海上運賃高騰
- サプライチェーン遅延
この事件は
世界物流は
一本の運河で止まる
という事実を
世界に示しました。
3|パナマ運河
太平洋と大西洋を結ぶ物流の要所
アメリカ大陸では
パナマ運河
が重要なチョークポイントです。
太平洋と大西洋を結ぶこの運河は
- アメリカ東海岸
- 南米
- アジア
を結ぶ物流ルートです。
しかし近年
渇水問題
が深刻化しています。
パナマ運河は
淡水を使った
閘門式運河
です。
そのため水不足になると
通航量が制限されます。
実際2023年には
船舶通航数が制限され
世界の海運スケジュールに
影響が出ました。
つまりチョークポイントは
戦争だけでなく
気候変動
によっても
影響を受けるのです。
4|台湾海峡
半導体物流の潜在リスク
地政学的に最も注目される
チョークポイントが
台湾海峡
です。
この海域は
- 日本
- 韓国
- 中国
の海上物流ルートが集中しています。
さらに台湾は
半導体生産の中心
でもあります。
TSMCをはじめ
世界の先端半導体の多くが
台湾で生産されています。
つまり
台湾海峡の緊張
↓
半導体物流停滞
↓
世界産業に影響
という構造です。
現代のサプライチェーンは
物流と地政学が密接に結びついている
ことが分かります。
5|物流チョークポイントが意味するもの
ここまで見ると分かる通り
世界物流は
広く分散しているように見えて
実は非常に集中しています。
巨大な物流ネットワークは
数カ所の
地理的ボトルネック
に依存しています。
つまり
物流問題は
物流企業だけの問題ではない
ということです。
それは
国家安全保障
の問題でもあります。
6|物流を「国家インフラ」として考える
日本では物流は
- 運送業
- 倉庫業
といった
民間産業
として扱われがちです。
しかし現実には
物流は
国家インフラ
です。
エネルギー
食料
工業製品
すべてが物流に依存しています。
そしてその物流は
世界のチョークポイントに
支えられています。
つまり
物流を考えることは
国家のリスク構造を理解すること
でもあるのです。
結論|物流は「見えないインフラ」
物流チョークポイントは
普段ほとんど意識されません。
しかし
- 海峡
- 運河
- 海上航路
といった場所が止まると
世界の物流は
一瞬で影響を受けます。
物流とは
単なる輸送ではありません。
それは
世界をつなぐインフラ
です。
そしてそのインフラは
いくつかの狭い地点によって
支えられています。
物流を理解するとは
こうした
見えない構造
を理解することでもあるのです。