原油価格が急騰しています。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の時間外取引で
米国産標準油種WTIは
1バレル=111ドル
を突破しました。
原油が100ドルを超えるのは
2022年7月以来
約3年8カ月ぶり
となります。
背景にあるのは
中東情勢の急激な緊迫化
です。
イスラエル軍はイランの首都テヘランにある
石油貯蔵施設を空爆。
さらに
原油輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖
という状況が報じられています。
このニュースは一見すると
エネルギー市場の話のように見えます。
しかし物流の視点から見ると
世界物流の根幹が揺らぐ事態
でもあります。
ホルムズ海峡という「世界最大の物流チョークポイント」
ホルムズ海峡は
ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ
幅50kmほどの海峡です。
しかしこの海峡は
世界最大級のエネルギー輸送ルート
でもあります。
世界の海上輸送原油の
約20%
がこの海峡を通過しています。
つまり
ホルムズ海峡
↓
世界エネルギー物流のボトルネック
という構造です。
そして日本にとっては
さらに重要な意味を持ちます。
日本の原油輸入の
約9割
は中東依存です。
つまり
ホルムズ海峡が止まる
↓
日本のエネルギー物流が止まる
という構造になります。
これは単なる資源問題ではありません。
国家物流の問題
です。
原油価格は「物流コストの根幹」
物流において原油価格は
極めて重要な意味を持ちます。
なぜなら
物流のほぼすべてが
エネルギーに依存
しているからです。
例えば
- トラック輸送
- 海上輸送
- 航空貨物
- 港湾荷役
すべてが
燃料
で動いています。
つまり原油価格が上がるということは
物流コストの基盤が上がる
ということです。
特に影響が大きいのは
海上輸送
です。
世界貿易の
約9割
は海上輸送です。
日本の輸入物流も
その大部分を海運に依存しています。
つまり原油価格の上昇は
輸送コスト
→ 輸入コスト
→ 物価
という形で
社会全体に波及します。
石油だけではない「石油化学物流」
もう一つ重要なのが
石油化学産業
です。
原油は単なる燃料ではありません。
ナフサなどを原料として
- プラスチック
- 化学製品
- 合成繊維
- ゴム
- 医薬品
などの原料になります。
つまり
原油物流
↓
石油化学
↓
産業物流
という構造です。
もしホルムズ海峡が本格的に
機能停止すれば
影響は
エネルギーだけに留まりません。
自動車
電子機器
包装材
食品容器
など
あらゆる産業に波及します。
日本の物流は「海の上」にある
日本は島国です。
そのため
エネルギー
食料
工業原料
の多くを
輸入物流
に依存しています。
そしてその輸入は
ほぼすべて
海上輸送
です。
つまり日本の経済は
海上物流
↓
国際航路
↓
チョークポイント
という構造の上に成り立っています。
今回の中東情勢は
その脆弱性を
改めて浮き彫りにしています。
物流を「安全保障」として考える時代
これまで日本では
物流は
- 運送業
- 倉庫業
といった
産業分野
として語られることが多くありました。
しかし今回のような事態を見ると
物流は
国家安全保障
の一部であることが分かります。
エネルギー
食料
産業
すべてが
物流
に依存しています。
そしてその物流は
世界の地政学に
大きく影響されます。
つまり
物流を理解することは
国家リスク構造を理解すること
でもあるのです。
結論|物流は「静かなインフラ」
原油価格の上昇は
金融市場では
単なる価格変動として扱われます。
しかし物流の視点で見ると
それは
サプライチェーンの警告
でもあります。
世界物流は
広大なネットワークのように見えます。
しかしその実態は
いくつかの
狭いチョークポイント
に依存しています。
ホルムズ海峡の緊張は
その事実を
改めて示しました。
物流とは
普段は目立たない
静かなインフラ
です。
しかしその流れが止まった瞬間
社会は初めて
物流の存在に気づくことになります。