中東情勢が緊迫する中、
ホルムズ海峡を大型原油タンカーが通過したことが明らかになりました。
海事データ分析会社
- ケプラー
- ロイズ・リスト・インテリジェンス
- マリーン・トラフィック
などの情報によると、
サウジアラビア産原油を積んだ大型タンカー
「シェンロン・スエズマックス」号
がホルムズ海峡を通過し、
インド・ムンバイに向かって航行しています。
この船は
最大100万バレルの原油
を輸送可能な大型タンカーです。
現在、米国・イスラエルとイランの間で攻撃の応酬が続く中でも、
一部の商船は海峡通航を継続している
ことが確認された形になります。
一見すると
「海峡はまだ機能している」
ようにも見えます。
しかし物流の視点から見ると、この状況は決して安心できるものではありません。
むしろ今起きているのは
非常に不安定な物流状態
です。
ホルムズ海峡は世界最大の物流チョークポイント
以前の記事でも書いた通り、
ホルムズ海峡は
世界最大級の物流チョークポイント
です。
チョークポイントとは、
物流が集中する
狭い通過点
のことです。
ホルムズ海峡を通過する原油は
世界海上輸送原油の 約20%
と言われています。
つまりここが止まれば、
原油供給 ↓ エネルギー価格 ↓ 輸送コスト ↓ 世界物流
すべてに影響します。
特に日本は
輸入原油の約9割 ↓ 中東依存
という構造です。
つまりホルムズ海峡は、
日本にとって
国家物流の生命線
でもあります。
「封鎖」ではなく「萎縮」
今回のニュースが示しているのは、
海峡が封鎖されたわけではない
ということです。
しかしこれは
安全を意味しません。
実際の海運業界では、
戦争や紛争が起きると
完全封鎖より先に起きる現象
があります。
それは
航行リスクの急上昇
です。
例えば次のような変化です。
- 保険料の急騰
- 船会社の航行回避
- 迂回ルート検討
- 運賃高騰
つまり物流は
止まる のではなく 細くなる
のです。
今回のタンカー通過は、
海峡が
完全に止まっていない
ことを示す一方で、
通常状態ではない
ことも示しています。
海運会社が沈黙する理由
今回タンカーを運航する
ダイナコム・タンカーズ社は、
コメントを拒否しています。
理由は
機微に触れる問題
だからです。
これは海運業界では珍しいことではありません。
紛争地域での航行は、
- 軍事リスク
- 政治リスク
- 保険問題
などが絡むため、
企業は
情報公開を極めて慎重にする
傾向があります。
つまり今回の航行も、
かなり緊張した状況で行われている可能性があります。
IMOが懸念する「航行の自由」
国連の海事機関である
IMO(国際海事機関)
も懸念を表明しています。
IMOのドミンゲス事務局長は
すべての当事者は 航行の自由を尊重すべき
と述べました。
これは外交的な表現ですが、
裏を返せば
航行の自由が脅かされている
という意味です。
海運にとって
航行の自由 =物流の前提条件
だからです。
世界物流は「見えない綱渡り」
物流は
普段は安定して見えます。
しかし実際には、
非常に繊細なバランスの上に成り立っています。
例えば
海峡 ↓ 港湾 ↓ タンカー ↓ 精製 ↓ 燃料 ↓ 物流
という巨大なサプライチェーンです。
ホルムズ海峡は
この中でも
最も重要なボトルネック
の一つです。
今回のニュースは、
そのボトルネックが
まだ機能している
ことを示しました。
しかし同時に、
その機能が
極めて不安定な状態
にあることも示しています。
まとめ
「通れた」というニュースの意味
今回のニュースは、
ホルムズ海峡を
タンカーが通過した
というものです。
一見すると小さなニュースです。
しかし物流の視点で見ると、
これは重要なシグナルです。
それは
海峡は封鎖されていない しかし安全でもない
という状態です。
世界のエネルギー物流は今、
見えない綱渡り
の上にあります。
そしてその綱は、
日本の物流とも
確実につながっています。