CLO(物流統括管理者)は、
単なる物流責任者ではありません。
それは本来、
企業のサプライチェーン構造を設計する役割
です。
しかし現実の日本企業では、
法制度が敷かれたばかりでCLOはまだ定着していません。
そのため多くの企業では、
外部CLO ↓ 組織変革 ↓ 社内CLOへ引き継ぎ
という形で導入される可能性が高いでしょう。
では、外部から入ったCLOは
短期間で何を残すべきなのでしょうか。
今回の実務編では、
「100日で組織を変えるCLO」
という視点から考察していきます。
外部CLOの使命は「空気」を変えること
外部CLOの最大の役割は、
戦略を作ることではありません。
それは
組織の空気を変えること
です。
多くの企業の物流部門は、
現場最適 ↓ 部門最適 ↓ 全体最適不在
という構造に陥っています。
例えば次のような状態です。
- 購買部門は仕入価格だけを見る
- 営業部門は納期だけを見る
- 物流部門は運賃だけを見る
結果として、
企業全体の物流コストは誰も見ていない
という状況になります。
ここに外部CLOが入ると、
まず行うべきことは
物流 =経営問題
という認識を
社内に定着させることです。
最初の30日:構造を「見える化」する
外部CLOが最初の30日で行うべきことは、
診断
です。
ここでは主に
物流コスト構造 輸送ネットワーク 在庫配置
を可視化します。
具体的には次のような作業です。
物流コストの分解
多くの企業では物流コストは
売上の◯%
というざっくりした数字で管理されています。
しかしCLOの視点では
輸送 保管 荷役 在庫
など細かく分解します。
すると多くの場合、
本当のボトルネック
が見えてきます。
例えば
- 倉庫配置が非効率
- トラック積載率が低い
- 在庫分散が過剰
などです。
ここで重要なのは、
犯人探しをしないこと
です。
外部CLOの役割は
人を責める ではなく 構造を変える
ことだからです。
次の40日:小さな勝利を作る
組織改革で重要なのは、
早期の成功体験
です。
外部CLOは次の40日で、
小さな改革 ↓ 即効果
の施策を実行します。
例えば次のようなものです。
共同配送の試験導入
同一エリアの納品を
複数配送 ↓ 共同配送
に変えるだけで、
トラック台数が減るケースがあります。
積載率の改善
配送ルートを見直すだけで
積載率 60% ↓ 75%
になることも珍しくありません。
こうした改善は、
数字としてすぐに表れます。
すると社内では
物流改革 =成果が出る
という空気が生まれます。
最後の30日:仕組みを残す
外部CLOの最大の仕事は、
仕組みを残すこと
です。
なぜなら外部人材は、
いずれ必ず去るからです。
そのため最後の30日で行うべきことは
制度化
です。
例えば次のようなものです。
物流KPIの導入
物流はしばしば
コストセンター
として扱われます。
しかしCLO体制では、
物流は
経営KPI
になります。
例えば
- 物流コスト率
- 積載率
- 在庫回転率
などを
経営会議で共有する指標
にします。
物流横断会議の設置
物流問題は、
営業 購買 生産 物流
すべてに関係します。
そのためCLOは
部門横断会議
を作ります。
ここで初めて
企業全体 の物流最適
が議論されます。
自律反発型物流組織とは何か
外部CLOが最終的に残すべきものは、
自律反発型の物流組織
です。
これはどういう意味でしょうか。
物流は今、
非常に不安定な環境にあります。
例えば
- ドライバー不足
- 燃料高騰
- 地政学リスク
- 港湾混雑
などです。
さらに最近では、
退職代行
の利用増加もあり、
人材流動性は高まっています。
つまり物流組織は、
常に衝撃を受ける
構造にあります。
そのため必要なのは
トップがいないと動かない組織 ではなく 衝撃に自ら反発する組織
です。
これが
自律反発型物流
です。
外部CLOが残す「爪痕」
100日後、
優れた外部CLOは
次の3つを残して去ります。
物流の可視化 物流の成果 物流の制度
この3つが残れば、
企業の物流は
元には戻りません。
なぜなら社内の認識が
物流=現場問題 ↓ 物流=経営問題
に変わるからです。
終章
CLOとは「去った後に効く改革」
CLOという役割は、
短期的な成果だけを求めるものではありません。
むしろ本質は
組織の構造 を変えること
です。
優れた外部CLOは、
派手な成果を誇りません。
代わりに、
企業の中に
物流という経営機能
を残して去ります。
そして数年後、
その企業は気づきます。
物流が 会社を 変えていた
という事実に。