中東情勢の緊迫が、世界の物流に新たな影響を及ぼし始めています。
これまで注目されてきたのは
・原油価格
・LNG輸送
・石油化学製品
といったエネルギー物流でした。
しかし、もう一つの重要な物流インフラが揺れています。
それが
航空貨物ネットワーク
です。
イランの攻撃により、中東地域の空港機能が一部低下。
航空会社はルート変更や運航制限を余儀なくされています。
もし影響が長期化すれば、
欧州―アジア間のサプライチェーン
に大きな影響が及ぶ可能性があります。
今回は、この航空物流の混乱を
物流構造の視点から整理してみます。
なぜ中東が航空物流の要衝なのか
航空貨物において中東は単なる通過点ではありません。
実はここは
世界最大級の航空ハブ地域
です。
特に重要なのは次の空港です。
・ドバイ
・ドーハ
・アブダビ
これらの空港は
欧州とアジアを結ぶハブ
として機能しています。
地図で見ると分かりやすいですが、
欧州
↓
中東ハブ
↓
アジア
というルートは
最短距離に近い航空ルート
になります。
そのため多くの航空貨物は
中東ハブで乗り継ぎ
を行っています。
つまり中東空港の機能低下は、
世界の航空物流のボトルネック
になり得るのです。
航空貨物は「高付加価値物流」
航空貨物は海上輸送と違い、
輸送量より価値が大きい
のが特徴です。
航空貨物の代表例は
・医薬品
・半導体
・電子部品
・精密機器
・ファッション製品
などです。
重量ベースでは少なくても、
経済価値は極めて大きい
分野です。
つまり航空貨物が混乱すると、
高付加価値産業
が直接影響を受けます。
欧州―アジア物流に起きる問題
中東空港の機能低下が続くと、
欧州―アジア間の航空物流では次の問題が起きます。
①航路の遠回り
航空会社は
・中東空域回避
・空港混雑回避
のため
航路変更
を行います。
例えば
欧州
↓
中央アジア
↓
東アジア
などのルートになります。
すると
・飛行時間増加
・燃料消費増加
が起きます。
②輸送コスト上昇
飛行距離が延びると、
当然コストが増えます。
航空貨物は燃料費の影響が大きく、
運賃の上昇
につながります。
これは
電子機器
医薬品
アパレル
などの価格にも波及します。
③航空スペース不足
中東ハブが機能低下すると、
貨物は
・アジア直行便
・欧州直行便
に集中します。
すると
航空貨物スペース不足
が発生します。
これはコロナ禍でも起きた現象です。
影響は航空だけではない
航空貨物の混乱は、
他の物流にも波及
します。
例えば
航空便が減る
↓
急ぎ貨物が海上輸送へ
↓
海上輸送混雑
という連鎖です。
つまり
航空物流の問題は
サプライチェーン全体の問題
になります。
物流企業の現場対応
航空物流の混乱に対して、
物流企業はすでに対応を始めています。
主な対応は次の通りです。
ルート分散
中東ハブ依存を減らし
・インド
・東南アジア
などを経由するルートを検討しています。
海上輸送との併用
緊急性の低い貨物は
航空
↓
海上
に切り替える動きがあります。
いわゆる
モーダルシフト
です。
在庫戦略の見直し
航空輸送が不安定になると、
企業は
在庫を増やす
方向に動きます。
これは
サプライチェーンリスク対策
です。
日本企業への影響
日本企業にとっても無関係ではありません。
なぜなら、
欧州―日本の航空物流でも
中東ハブ経由
が多いからです。
影響を受けやすいのは
・医薬品
・精密機器
・電子部品
などの産業です。
特に
半導体関連
は航空輸送依存が高いため、
影響が広がる可能性があります。
本質:サプライチェーンは地政学で動く
今回の航空物流の混乱が示しているのは、
サプライチェーンは
地政学リスク
に強く影響されるという事実です。
海上では
・ホルムズ海峡
・紅海
空では
・中東空域
がボトルネックになります。
つまり物流は、
地図の上で動く産業
なのです。
終章
物流危機はエネルギーだけではない
中東情勢というと、
多くの人が思い浮かべるのは
原油
です。
しかし実際には、
影響はそれだけではありません。
エネルギー
海上物流
航空物流
すべてがつながっています。
サプライチェーンとは
巨大なネットワーク
です。
そのどこか一つが揺れると、
世界の物流は連鎖的に影響を受けます。
今回の航空物流の混乱は、
その現実を改めて示しているのかもしれません。