物流業界入門

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【日銀発表】冷凍倉庫指数108.1が示す、食品物流の『静かな死』

――食品価格の裏で進む「コールドチェーン危機」

食品物流の現場で、静かに起きている変化があります。

それが

冷凍冷蔵倉庫の保管料の上昇

です。

日本銀行が公表した企業向けサービス価格指数(2020年平均=100)によると、
冷凍冷蔵倉庫の指数は108.1となりました。

これは2023年と比べて明確な上昇です。

背景にあるのは

・電気代の高騰
・人件費の上昇
・冷凍食品市場の拡大

です。

しかし、このニュースの本質は単なる「倉庫料金の値上げ」ではありません。

本当に重要なのは、

日本のコールドチェーン(低温物流)の構造が限界に近づいている

という点です。

今回は、冷凍冷蔵倉庫の価格上昇の裏側を
物流構造から整理してみます。


冷凍倉庫は「電気で動く物流」

まず理解しておきたいのは、冷凍倉庫のコスト構造です。

一般的な物流倉庫と違い、冷凍冷蔵倉庫は

巨大な冷蔵庫

です。

内部の温度は

・冷蔵:0〜5℃
・冷凍:−20℃前後

で維持されています。

つまり倉庫は常に

巨大な冷却装置

を動かし続けています。

そのため冷凍倉庫のコストの中で非常に大きいのが

電力費

です。

電気料金が上昇すると、
倉庫運営コストは一気に跳ね上がります。


人手不足がコストを押し上げる

もう一つの大きな要因が

人件費

です。

冷凍倉庫の作業は、

・低温環境
・重作業
・夜間作業

などが多く、
物流の中でも特に人手確保が難しい分野です。

そのため

人手不足

賃金上昇

保管料上昇

という構造が生まれます。

これは現在、全国の冷凍倉庫で起きている共通の課題です。


冷凍食品市場の拡大

さらに需給を逼迫させているのが、

冷凍食品市場の拡大

です。

近年、冷凍食品は急速に伸びています。

背景には

・共働き世帯の増加
・時短ニーズ
・食品ロス対策

があります。

さらに最近では

・冷凍弁当
・宅配冷凍食
・冷凍ミールキット

など新しい市場も拡大しています。

つまり食品物流は今、

常温→低温

へとシフトしているのです。


しかし冷凍倉庫は簡単に増えない

ここが非常に重要なポイントです。

通常の物流倉庫であれば、
需要が増えれば建設が進みます。

しかし冷凍倉庫は事情が違います。

理由は

建設コスト

です。

冷凍倉庫は

・断熱構造
・冷却設備
・電力設備

など特殊な設備が必要です。

そのため建設費は

通常倉庫の2〜3倍

と言われています。

さらに

・建設資材高騰
・人件費上昇
・金利上昇

も重なり、

新設投資が進みにくい

状況になっています。


物流の「低温インフラ不足」

この結果、今日本で起きているのは

冷凍倉庫の慢性的不足

です。

つまり

需要

供給

という状態です。

この構造では

保管料は下がりません。

むしろ長期的には

上昇圧力が続く可能性

があります。


食品価格への影響

冷凍倉庫の料金上昇は、

最終的に

食品価格

に影響します。

構造はこうです。

冷凍倉庫費用

物流コスト

卸売価格

小売価格

つまり、

食品インフレの一因

になります。

特に影響を受けやすいのは

・冷凍食品
・アイスクリーム
・冷凍水産物

などです。


日本物流の「見えないボトルネック」

冷凍倉庫は、物流の中では目立たない存在です。

しかし実際には、

食品サプライチェーンの要

です。

例えば



冷凍倉庫

配送センター

スーパー

という流れで食品は流れています。

つまり冷凍倉庫は

食品物流の中継拠点

なのです。

もしここが不足すると、

食品供給そのものが不安定になります。


本質:コールドチェーンは国家インフラ

今回のニュースから見えてくるのは、

コールドチェーンが

国家インフラ

だという事実です。

電力
物流
食品供給

すべてがつながっています。

そして今、

・電力コスト上昇
・人手不足
・需要拡大

という三つの圧力が

低温物流

に集中しています。


終章

冷凍倉庫は「静かな物流危機」

冷凍冷蔵倉庫の保管料上昇は、
単なる値上げニュースではありません。

そこには

・エネルギー問題
・人手不足
・食品需要

という構造問題があります。

つまりこれは

静かな物流危機

とも言える現象です。

食品の安定供給を支えているのは、
スーパーの棚ではありません。

その裏側にある

コールドチェーン

なのです。