物流業界入門

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【ONEが緊急燃料サーチャージ導入】――なぜONEだけが先に動いたのか。中東情勢が揺らす「海上物流コスト」

2026年3月。

日本の海運3社
日本郵船・商船三井・川崎汽船のコンテナ船事業統合会社

オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)

が、中東情勢の混乱を受けて

緊急燃料サーチャージ

を導入すると発表しました。

適用は3月24日から。

料金は

1TEUあたり80〜160ドル

です。

これは一見すると海運業界のニュースに見えます。
しかし本質的には、

世界物流コストの上昇シグナル

でもあります。

そしてもう一つ重要な疑問があります。

なぜONEだけが先にサーチャージを発表したのか。

ここにはコンテナ海運特有の構造があります。


燃料サーチャージとは何か

コンテナ海運には、

BAF(Bunker Adjustment Factor)

と呼ばれる燃料調整制度があります。

船舶燃料価格は大きく変動するため、

基本運賃とは別に
燃料費を調整する仕組みです。

しかし今回導入されたのは

緊急燃料サーチャージ

です。

これは通常のBAFでは吸収できない

・燃料価格急騰
・航路リスク
・保険料上昇

などに対応するための

臨時コスト転嫁

です。

つまり今回の措置は、

海運会社が

「通常の価格体系では吸収できないリスク」

を感じていることを意味します。


背景にある中東航路リスク

今回の措置の背景にあるのは

中東情勢の緊張

です。

特に重要なのが

・ホルムズ海峡
・紅海
・スエズ運河航路

です。

これらは

世界物流の動脈

とも呼ばれる海域です。

もし航行リスクが高まると、

海運会社は

・航路変更
・船舶保険料上昇
・燃料消費増
・港湾待機

などのコスト増に直面します。

つまり

地政学リスク=物流コスト

という構造です。


コンテナ海運は世界物価を動かす

コンテナ船が運んでいるのは

・家電
・衣料
・家具
・食品
・原材料

など、

世界の消費財の大半です。

つまり海運コストの上昇は

海運

輸入コスト

製造コスト

小売価格

という形で

インフレ圧力

につながります。

実際、コロナ禍の2021年には

コンテナ運賃が

10倍近くまで高騰

しました。

その結果、

世界的な物価上昇が発生しました。


なぜONEが先に動いたのか

ここが今回のニュースの本質です。

コンテナ海運は現在、

3つの巨大アライアンス

で運航されています。

・2M(マースク、MSC)
・Ocean Alliance(CMA CGMなど)
・THE Alliance(ONE、Hapag-Lloydなど)

ONEは

THE Alliance

の中核企業です。

このアライアンスでは、

航路は共同運航ですが

運賃政策は各社が決めます。

つまり

航路は共同
価格は個別

という構造です。

そのため、

リスク判断によって

各社の動きに差が出る

ことがあります。


ONEが早く動く理由

ONEは実は、

日本企業の海運統合会社です。

日本の海運会社は伝統的に

リスク管理を重視する経営

を取ります。

また日本企業は

荷主との長期契約も多く、

コスト変動を早めに伝える傾向があります。

つまり今回の動きは

市場の先読み

とも言えます。

海運業界では、

一社が動くと

他社も追随

するケースが多い。

今回も今後、

他の海運会社が

同様のサーチャージを導入する可能性があります。


日本物流への影響

日本は典型的な

海運国家

です。

輸出入貨物の

約99%

が海上輸送です。

つまり海運コストの変動は、

日本経済に直接影響します。

特に影響が出やすいのは

・電子部品
・化学製品
・食品原料
・日用品

など、

輸入依存度が高い分野です。

物流コストは目立ちませんが、

最終的には

商品価格

に反映されます。


物流業界の対策

海運会社は現在、

リスク対策として

様々な取り組みを進めています。

例えば

航路分散

です。

紅海航路が不安定な場合、

・喜望峰ルート
・代替港湾利用

などを検討します。

しかしこの場合、

航行距離は

約1.4倍

になります。

つまり燃料消費が増え、

輸送コストは上昇します。


結論|物流は世界情勢のセンサー

今回のONEのサーチャージは、

単なる海運ニュースではありません。

それは

世界物流の緊張

を示すシグナルです。

中東情勢

海上輸送リスク

海運コスト上昇

輸入価格上昇

物価上昇

物流は常に

世界情勢の最前線

にあります。

そして今回の動きは、

世界経済の次の変化を示す

小さな前兆

かもしれません。