――400万台インフラが迎える転換点。補充ドライバー不足が変える飲料流通
サッポロホールディングスが自動販売機事業から撤退する方針を決めました。
傘下の
ポッカサッポロフード&ビバレッジ
が運営してきた自販機事業は
ライフドリンクカンパニー
へ売却される見通しです。
一見すると、これは
飲料メーカーの事業再編
のように見えるニュースです。
しかし物流の視点から見ると、この出来事の意味はまったく違います。
これは
日本の自販機物流モデルの転換点
を象徴する出来事だからです。
日本は世界最大の自販機国家
日本は世界でも特殊な国です。
自販機台数は
ピーク:約560万台 現在:約400万台
と言われています。
これは
人口25〜30人に1台
という、世界でも例のない密度です。
つまり日本には
400万台の分散在庫拠点
が存在していることになります。
この巨大ネットワークを支えているのが
補充物流
です。
自販機は「街角の倉庫」です
多くの人は、自販機を
飲み物を売る機械
だと思っています。
しかし物流の世界では少し違います。
自販機とは
街中に分散した小型倉庫
です。
1台の自販機には
約300〜600本
の飲料が入ります。
平均400本と仮定すると
400万台 × 400本
これは
約16億本
もの飲料在庫になります。
つまり日本の街には
巨大な分散型在庫ネットワーク
が存在しているのです。
このインフラを支える「補充物流」
この分散在庫を維持するために必要なのが
自販機補充物流
です。
オペレーションは次のような流れになります。
配送センター ↓ 補充トラック積み込み ↓ ルート巡回 ↓ 商品補充 ↓ 売上回収 ↓ 空き缶回収 ↓ 故障チェック
つまり自販機物流は
配送 + 現地作業
という特殊な業務です。
1人のオペレーターが回れるのは
1日20〜30台
程度です。
この巨大ネットワークを維持するため、
日本中で毎日膨大な補充トラックが走っています。
しかし今、このモデルが揺らいでいます
現在、自販機業界は大きな転換期を迎えています。
主な理由は三つあります。
① 補充ドライバー不足
物流業界では現在
ドライバー不足
が深刻化しています。
特に自販機補充は
・重量物運搬
・屋外作業
・長時間運転
という厳しい条件が重なります。
その結果
補充ルート維持 ↓ 困難
という状況が各地で起き始めています。
② 電気代の高騰
自販機は
24時間稼働
します。
つまり
電力コスト依存型ビジネス
でもあります。
電気料金の上昇は
利益圧迫
に直結します。
③ 設置場所の変化
かつて自販機の主戦場は
工場 オフィス 駅
でした。
しかし現在は
・テレワーク
・人口減少
・コンビニ増加
などの影響で
売れる場所 ↓ 減少
しています。
それでも自販機が消えない理由
それでも自販機は簡単には消えません。
理由はシンプルです。
自販機には
定価販売
という強みがあります。
スーパーやドラッグストアでは
値引き競争
が起きます。
しかし自販機では
メーカー希望小売価格
で販売できます。
つまりメーカーにとって
利益率の高い販売チャネル
なのです。
今後起きる「自販機再編」
ただし、これまでのモデルは確実に変わります。
これから起きるのは
自販機統合
です。
つまり
メーカー別補充 ↓ 共同物流
という流れです。
具体的には
・飲料メーカー共同補充
・物流会社主導運営
・AIルート最適化
などが進む可能性があります。
未来の自販機は「物流装置」になります
今後の自販機は、これまでの
販売機
から
物流装置
へと進化していきます。
例えば
IoT在庫管理 AI補充予測 キャッシュレス決済 データ分析
などです。
つまり自販機は
販売装置 ↓ データ物流装置
へ変わっていくのです。
結論|自販機は都市物流の最小単位
サッポロホールディングスの撤退は
単なる事業整理ではありません。
それは
自販機物流モデル
の転換点です。
これまでの
設置産業
から
物流産業
へ。
そしてこれからは
データ物流
へ。
日本の街角に立つ400万台の自販機は今、
静かな物流革命の入り口に立っています。