最近、
SNSでこんな投稿が
大きな反響を呼んでいました。
「10トントラックから、 段ボール2000個を ドライバーが一人で手降ろし。
なぜパレットを使わないのか。 荷主が『倉庫に入らない』と断るから。
作業2時間、 運賃には1円も乗らない。
手降ろしを断れば荷主を失い、 受け入れればドライバーが壊れる。」
まさに、 物流現場の厳しさを 象徴する投稿です。
手降ろしの過酷さは、 いまさら説明するまでもありません。
しかし、 この投稿を見て、 私はこう返信しました。
問題は、バラ積みや手降ろしそのものではない。
同じバラ積みでも、 納得できる現場は存在する。
作業量に見合う対価が支払われるなら、 それは「割の良い仕事」にもなり得る。
本当に問題なのは、 どれだけ働いても 運賃に反映されない価格構造だ。
実際、 軽量商材で、 荷役料が適正に支払われる現場では、 ドライバー自身が 「割に合う」と評価するケースもあります。
つまり、
作業の重さそのものより、 その価値が価格に反映されるかどうか
が重要なのです。
そして、本当の重労働はその先にある
手降ろしは確かに過酷です。
ですが、 物流現場には それ以上に見えにくく、 そして過酷な作業があります。
それが、
店別仕分け(種まき)
です。
スーパーのDC(配送センター)で、 納品された商品を 各店舗ごとに仕分ける作業です。
- パレットへ積み替える
- カゴ台車へ振り分ける
- 店舗別スペースへ配置する
一見すると、 単純作業に見えるかもしれません。
しかし、 その負荷は 非常に大きいのです。
なぜ「手降ろし」より過酷なのか
手降ろしは、 言わば
降ろせば終わる仕事
です。
しかし、 店別仕分けは違います。
- 商品を確認する
- 店舗ごとに分ける
- 数量を合わせる
- 積み付ける
- 誤仕分けを防ぐ
つまり、
肉体労働と頭脳労働が同時に求められる
のです。
しかも、 特売日には
- 数千ケース
- 数十店舗
- 時間制約あり
という条件が重なります。
これは、 単なる荷役ではありません。
センター内オペレーションそのもの
です。
本来、誰の仕事なのか
ここが最大の論点です。
店別仕分けは、
輸送業務
ではありません。
本来は、
センター内作業
です。
にもかかわらず、 長年にわたり、
- 納品業者
- ドライバー
- メーカー側作業員
が担ってきました。
なぜか。
センター側がそのコストを外部化してきたから
です。
「見えないコスト移転」の典型例
センター側にとって、 店別仕分けを納品側に任せれば、
- 人員を抱えなくて済む
- 繁忙変動を吸収できる
- 固定費を抑えられる
というメリットがあります。
その結果、
センターの効率を、納品側の無償労働で支える
構造が生まれました。
これこそが、 物流業界に残る 典型的な「見えないコスト移転」です。
なぜ「地獄」になるのか
店別仕分けそのものは、 物流機能として必要な作業です。
小売の多店舗配送では、 どこかで必ず 店舗別の仕分けが必要になります。
問題は、
誰がやるか ではなく 誰が負担し、どう支払うか
です。
センター側が 自社機能として行うのか。
納品側に委託するのか。
どちらでも構いません。
ただし、 そこに
- 明確な作業範囲
- 合理的な対価
- 契約上の整理
が必要です。
2024年問題が変えたもの
これまで、 店別仕分けは 「ついで作業」 として扱われがちでした。
しかし、 ドライバーの労働時間規制によって、
時間には明確なコストがある
ことが 可視化されました。
今や、
- 荷待ち
- 荷役
- 店別仕分け
はすべて 価格設計の対象です。
潰すべきは「作業」ではなく「曖昧さ」
店別仕分けを 完全になくすことは 現実的ではありません。
なぜなら、 小売物流には 不可欠な機能だからです。
なくすべきなのは、
無償で行われる店別仕分け
です。
もっと言えば、
どれだけ働いても価格に反映されない構造
そのものです。
物流改革の本質
これから必要なのは、
- 店別仕分けの標準作業化
- 作業単価の明確化
- 付帯業務の契約化
- 拘束時間の適正評価
つまり、
見えない作業を、見える価格に変えること
です。
結論|店別仕分けは「悪」ではない
店別仕分けは、 物流を支える重要な機能です。
悪なのは、 その価値を 正しく評価しないことです。
同じ作業でも、
- 正しく支払われれば「必要な仕事」
- 無償なら「地獄の作業」
になります。
物流業界が 本当に変えるべきは、
店別仕分けという作業 ではなく その価値を価格へ変換する仕組み
です。
それこそが、 持続可能な物流への 本当の第一歩なのです