物流業界入門

物流業界の基礎から最新トレンドまで、現場経験を活かしてわかりやすく解説!

【寄稿解説】「荷待ち」はなぜ消えないのか── メルクマール寄稿第2弾で見えた、“物流が止まる本当の場所”

物流2024年問題。

世間では、

  • ドライバー不足
  • 残業規制
  • 運べなくなる危機

が注目されがちです。

しかし今回、私がメルクマール寄稿第2弾で掘り下げたのは、

「走るトラック」

ではなく、

「止まっているトラック」

の話です。

▼寄稿記事 「これは休憩じゃない、拘束だ」――なぜトラック運転手は“荷下ろし前”に消耗するのか? 待機3割が映す物流の歪みとは | Merkmal(メルクマール)

物流の問題は、 単純に「ドライバーが足りない」ではありません。

本当に起きているのは、

“物流全体の接続不良”

です。


■ なぜ今、「荷待ち」が爆発しているのか

2024年問題で、 ドライバーの労働時間に上限が入りました。

これ自体は必要な改革です。

しかし実際には、

今までドライバーの長時間労働で吸収されていた“無理”が、 行き場を失っただけでもあります。

つまり、

  • 長時間運転で帳尻合わせ
  • サービス残業
  • 無賃待機
  • 前集荷
  • 無理な時間指定

こうした歪みが、 今までは“人間の我慢”で成立していた。

それが限界を迎え始めています。


■ 「荷待ち」は休憩ではない

今回の記事で特に書きたかったのがここです。

外から見ると、 待機しているトラックは、

「休んでいる」

ように見えるかもしれません。

でも現場感覚では全く違います。

いつ呼ばれるかわからない。

車を離れられない。

次の予定も読めない。

つまり、

「拘束」

です。

実際、私が前職の冷蔵倉庫時代に関わっていた現場でも、

  • バース空き待ち
  • 荷物未完成
  • 特売前の大量入庫
  • 予定外商品
  • 突発割込み

は日常でした。

最近、当時一緒に働いていた人とも話しましたが、

「電子化は進んでも、現場の無理は変わってない」

という言葉が非常に印象的でした。

受付タブレット化。

呼出システム導入。

予約受付。

確かに“見える化”は進んでいます。

でも、

  • 荷量偏在
  • 急な割込み
  • 情報未確定
  • 人手不足

という構造自体は、 まだほとんど変わっていない。

ここが本質です。


■ 「必要な時に必要な分だけ」が現場を壊す

今の物流は、 極限まで在庫を減らす方向へ進みました。

いわゆる、

JIT(ジャストインタイム)

です。

これは経営効率としては合理的です。

しかし裏側では、

  • 特売前だけ物量爆発
  • 休日前集中
  • 午前中だけ全便集中
  • 直前発注
  • 当日変更

という形で、 物流拠点へ負荷が押し寄せています。

しかも問題なのは、

「荷主側は全体を見えているが、現場には情報が降りてこない」

ことです。

だから倉庫現場では、

「トラックが来るまで中身が分からない」

という事態が今でも普通に起きる。

これはもう、 現場根性で解決できる領域ではありません。


■ 物流施設の大型化が逆に詰まらせる

近年、 巨大物流センターは増えています。

しかし実際には、

  • 建物内移動距離増大
  • ルール複雑化
  • 接車集中
  • 情報処理増加

によって、 逆に流れが悪くなるケースも増えています。

つまり、

「大きい=効率的」

ではない。

物流は、 単純な面積勝負ではなく、

“流れの設計”

だからです。


■ 「物流改革」は、まだ入口にすぎない

最近は、

  • 予約受付システム
  • 共同配送
  • バース管理
  • デジタル化

など、 様々な改革が進んでいます。

しかし現場では今も、

  • 至急案件
  • 電話一本割込み
  • 無理な納期
  • 待機費未払い

が強い力を持っています。

つまり、

「制度」と「現場慣習」が噛み合っていない。

これが今の物流です。


■ 本当の問題は、「運べない」ではない

今回の記事で一番伝えたかったのはここです。

2024年問題の本質は、

「輸送力不足」

だけではありません。

本当に危険なのは、

「物流のどこか一箇所が詰まると、全体が止まる」

という構造です。

物流は、 一本道ではありません。

  • 発注
  • 在庫
  • 集荷
  • 倉庫
  • 幹線輸送
  • 店舗納品

すべてが連鎖しています。

だから一箇所の滞留が、 全体へ波及する。

今までは、 現場が残業と根性で吸収してきた。

しかし、 それがもう限界に近づいている。


■ 結論|物流は「流れ」を設計できるかで決まる

これから重要になるのは、

単なる輸送力ではありません。

重要なのは、

「物流全体の流れをどれだけ滑らかにできるか」

です。

  • 荷量平準化
  • 情報共有
  • 発注タイミング見直し
  • 待機時間可視化
  • 適正コスト転嫁

こうした、

“構造側の改革”

なしでは、 物流停滞はなくならないでしょう。

物流2024年問題は、 単なる法改正ではありません。

これは、

「人の我慢」で成立していた物流から、 “構造で回す物流”へ移行できるか

を問われている問題なのだと思います。