全日本トラック協会(全ト協)は2026年5月25日、2026年度の「重さ指定道路」「高さ指定道路」に関する要望受付を開始しました。
令和8年度「高さ指定道路」の指定に関する要望の受付について | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association
令和8年度「重さ指定道路」の指定に関する要望の受付について | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association
一見すると、
「道路指定の事務連絡」
にも見える話です。
しかし現場視点で見ると、これは単なる制度案内ではありません。
物流そのものの“運べる範囲”を左右する極めて重要な制度です。
特に近年は、
- 2024年問題
- ドライバー不足
- 積載効率改善
- ダブル連結トラック活用
- モーダルシフト推進
などによって、
「一度にどれだけ運べるか」
の重要性が急速に高まっています。
つまり今回の制度は、
「道路行政」
ではなく、
“物流効率そのもの”
に直結する話なのです。
■ そもそも「重さ指定道路」とは何か
まず重さ指定道路です。
通常、日本の一般道路では、 車両総重量は20トンまでが基本制限です。
しかし物流現場では、
- 幹線輸送
- 大型幹線便
- 海上コンテナ
- パレット大量輸送
など、 20トンでは効率が悪いケースが増えています。
そこで指定された道路については、
最大25トンまで走行可能
になる制度が「重さ指定道路」です。
ただし無条件ではありません。
- 車両長さ
- 軸重
- 特殊車両通行許可
- 過去許可実績
など複数条件があります。
つまり簡単に言えば、
「道路側が大型高積載輸送を許容する区間」
ということです。
■ なぜ今「25トン」が重要なのか
ここは非常に重要です。
現在物流業界では、
「運ぶ量」
より、
「何回走るか」
の方が問題になり始めています。
理由は単純です。
ドライバーが足りないからです。
つまり今後は、
- 少ない運行回数で
- より多く積み
- 幹線効率を上げる
方向へ進まざるを得ません。
その中で重要なのが、
- 25トン車
- 高床大型車
- ダブル連結
- 幹線大量輸送
です。
つまり今回の制度要望は、
「道路を通りやすくする話」
ではなく、
“物流の省人化”
そのものなのです。
■ 「高さ指定道路」はもっと重要かもしれない
今回もう一つ重要なのが、 高さ指定道路です。
通常、 一般道路の高さ制限は3.8メートルです。
しかし物流現場では近年、
- 背高海上コンテナ
- 高床シャーシ
- ダブル連結トラック
- 大型特殊積載
が増えています。
そこで指定道路では、
高さ4.1メートルまで走行可能
となります。
わずか30センチ。
しかし物流では、 この30センチが極めて大きい。
例えば海上コンテナ輸送では、 高さ制限に引っかかることで、
- 遠回り
- 下道制限
- 積載変更
- シャーシ変更
などが発生します。
つまり高さ指定道路とは、
「通れるかどうか」
ではありません。
“物流効率そのもの”
を左右する制度なのです。
■ なぜ対象外道路が厳しいのか
今回対象外とされたのは、
- トンネル制限区間
- 高架橋障害
- 植栽接触区間
- スクールゾーン
- 駅前
- 住宅街
- 大型車進入禁止
などです。
これは当然です。
物流効率だけを優先すると、 生活インフラ側へ負荷が流れるからです。
つまり今回の制度は、
「物流最適」
だけではありません。
- 地域安全
- インフラ耐久
- 生活道路保護
とのバランスで成り立っています。
ここは今後さらに重要になります。
物流は今後、
「好きな場所を自由に走る」
時代ではなく、
「社会全体の中でどう接続するか」
が問われるフェーズへ入っています。
■ 今後は「走れる道」が企業競争力になる
ここは物流現場的にかなり重要です。
今後は、
- どの道路を使えるか
- どの高さで走れるか
- どの重量で回せるか
によって、 輸送効率が大きく変わります。
つまり、
「道路条件」
そのものが、 物流会社の競争力へ直結し始めるのです。
例えば、
- 幹線効率
- 積載率
- 回転率
- ドライバー拘束時間
は、 道路条件で大きく変わります。
特に2024年問題以降は、
「1回でどれだけ運べるか」
が収益へ直結しやすくなっています。
つまり今後は、
配車力だけではなく、
“道路制度理解力”
そのものが物流力になります。
■ 現場は「制度」を知らないと損する時代へ
今回の全ト協受付は、 単なる形式的募集ではありません。
実際、 要望が通ることで、
- 幹線効率改善
- 回送削減
- 運行短縮
- 積載改善
につながる可能性があります。
逆に言えば、
制度を知らないままでは、 非効率運行を続けることになる可能性もあります。
特に今後は、
- 特車許可
- 指定道路
- 高さ緩和
- ダブル連結
- モーダルシフト
など、 制度理解が現場運営へ直結する時代になります。
物流は今、
「現場根性」
だけでは回らなくなっています。
制度。
道路。
法規。
インフラ。
それらを含めて設計する時代へ変わり始めているのです。
■ まとめ
今回の全ト協による 「重さ指定道路」 「高さ指定道路」 の要望受付開始は、 単なる行政手続きの話ではありません。
その本質は、
「少ない人員で、どう物流を維持するか」
という、 2026年以降の物流構造改革そのものです。
今後は、
- どこを走れるか
- 何トン積めるか
- どの高さまで通せるか
が、 物流効率を大きく左右します。
つまり物流は今、
「荷物を運ぶ仕事」
から、
“社会インフラ条件を読み解く仕事”
へ変わり始めているのです。
令和8年度「高さ指定道路」の指定に関する要望の受付について | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association
令和8年度「重さ指定道路」の指定に関する要望の受付について | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association