物流業界入門

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【全ト協が全国初の「飼料部会」を設立へ】──これは食料物流を守る第一歩になるのか

全日本トラック協会は7月、飼料輸送に携わる事業者を全国規模で組織する「飼料部会」を初めて設立します。

背景にあるのは、飼料輸送が抱える深刻な課題です。

危険な高所作業。

特殊車両による非効率な輸送。

深刻なドライバー不足。

そして2024年問題による輸送能力の低下。

農林水産省も、飼料の安定供給を維持するためには、運送事業者だけでなく畜産農家や飼料メーカーも含めた関係者全体で輸送合理化に取り組む必要があるとして、全日本トラック協会へ対応を要請しています。

今回の飼料部会設立は、その流れを全国規模で具体化する動きと言えるでしょう。


飼料輸送は「特殊輸送」であり、食料インフラでもあります

一般の方にはあまり知られていませんが、飼料輸送は通常の一般貨物輸送とは大きく異なります。

使用するのは専用のバルク車。

積み込む飼料の種類ごとの管理。

農場ごとに異なる受入設備への対応。

さらに農場では、配合飼料タンクへ投入するため、ドライバー自身がタンクのはしごを登り、蓋を開閉する高所作業を行うケースが現在も少なくありません。

農林水産省も、この高所作業が飼料輸送特有の大きな負担となり、人材確保を困難にしていると指摘しています。

単なる運転業務ではないからこそ、担い手不足はより深刻になっています。


問題は「運転」ではなく「付帯作業」にあります

物流業界では2024年問題が語られる際、運転時間ばかりが注目されます。

しかし飼料輸送では、それ以上に付帯作業の負担が大きな課題となっています。

農場での高所作業。

タンクの状態確認。

荷役設備への対応。

防疫を意識した作業。

こうした業務は運転とは別の負担でありながら、ドライバーが担ってきた仕事です。

全国の飼料輸送事業者からは、

・危険な高所作業

・老朽化したタンク設備

・小ロット・多頻度配送

・特殊車両ゆえ帰り荷が確保できない

といった課題も報告されています。

つまり、飼料輸送は「走れば終わり」の仕事ではありません。

運送会社だけの努力では解決できない構造的な問題を抱えています。


私が以前書いた「森下運輸」の記事ともつながります

私は先日、岡山県の森下運輸が破産したニュースについて記事を書きました。

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森下運輸は配合飼料輸送を主力としていた運送会社でした。

仕事はありました。

売上もありました。

それでも経営は続きませんでした。

私はあの記事で、

「物流危機は荷物不足ではない」

「運べる会社が減っていることこそ本当の危機だ」

と書きました。

今回の全ト協の飼料部会設立は、その問題意識と決して無関係ではありません。


食料を守るには物流を守らなければなりません

牛乳。

卵。

豚肉。

鶏肉。

牛肉。

これらはすべて、飼料が農場へ届くことで初めて生産できます。

つまり、飼料物流は食料供給の出発点です。

その輸送が止まれば、やがて私たちの食卓にも影響が及びます。

だからこそ、この問題は物流業界だけの話ではありません。

社会インフラの問題でもあります。


部会設立だけでは課題は解決しません

もちろん、部会を設立しただけで現場が変わるわけではありません。

高所作業を減らす設備改善。

荷待ちや付帯作業の見直し。

配送効率の向上。

そして適正な運賃収受。

こうした課題に、荷主・畜産農家・メーカー・運送会社が一体となって取り組まなければ、本当の意味で持続可能な飼料物流は実現しません。

しかし、全国規模で専門部会が設けられることは、これまで個別に扱われてきた飼料輸送の課題を共有し、改善を進めるための一歩になる可能性があります。


おわりに

私はこれまで何度も書いてきました。

物流は「運ぶ産業」ではありません。

社会を止めないためのインフラです。

その中でも飼料物流は、日本の食料供給を支える最前線にあります。

だからこそ、安全に働ける環境づくりと、持続可能な物流体制の構築は急務です。

全日本トラック協会の飼料部会が、現場の声を集め、実効性のある改善につながる組織となることを期待したいと思います。