愛媛県松山市で6月28日、「フォークリフト運転競技大会」が開催されました。
大会には県内の運送会社8社から16人のオペレーターが参加し、学科試験と実技試験を通じて、フォークリフトの運転技術や安全確認、荷役作業の正確性などを競いました。
実技では、狭いコースでの安全な走行や、およそ1トンの荷物を正確に持ち上げて運搬する技術などが審査され、日頃の現場で培った技能が披露されました。
成績上位2人は、11月に愛知県で開催される全国大会への出場権を獲得しています。
この大会は毎年開催されており、安全意識の向上と労働災害防止を目的としています。
■ 物流を支えているのは「運ぶ人」だけではない
物流というと、多くの人がトラックドライバーを思い浮かべます。
もちろん、物流に欠かせない存在です。
しかし、そのトラックへ荷物を積み込み、倉庫で保管し、出荷し、荷降ろしする工程がなければ、物流は一歩も前へ進みません。
その中心にいるのがフォークリフトオペレーターです。
倉庫では一日に何百回、何千回と荷役作業が繰り返されます。
その一つひとつの作業が、安全で正確だからこそ、日本の物流は成り立っています。
■ フォークリフトは「運転」ではなく「技術」
フォークリフトは資格を取得すれば誰でも操作できます。
しかし、安全に、速く、正確に荷物を扱うことは、決して簡単ではありません。
荷物の重心を読み、
フォークの高さを細かく調整し、
周囲の安全を確認しながら作業を進める。
さらに荷物を傷つけず、設備にも接触させない。
こうした一連の動作には、経験によって培われた高度な技能が求められます。
だからこそ、この大会では単純なスピードではなく、安全確認や正確な操作も重要な評価項目となっています。
■ 安全大会ではなく「技能大会」である意味
このような競技大会は、事故防止だけが目的ではありません。
私はもう一つ、大きな役割があると思っています。
それは、
オペレーターのモチベーション向上です。
物流業界では、ドライバーコンテストは比較的知られています。
一方で、フォークリフトオペレーターがスポットライトを浴びる機会は決して多くありません。
しかし、競技大会があることで、
「もっと技術を磨こう」
「全国大会を目指そう」
という目標が生まれます。
自分の技術が評価される環境は、仕事への誇りにもつながります。
これは、人材確保や定着にも大きな意味を持つ取り組みではないでしょうか。
■ 人手不足だからこそ「技能」が価値になる
物流業界では、人手不足が深刻化しています。
そのため、省人化や自動化が注目されています。
しかし、自動倉庫が普及しても、すべての荷役作業を機械が担えるわけではありません。
特に多品種少量物流や、イレギュラー対応では、人の判断と技術が不可欠です。
だからこそ、フォークリフトオペレーターの技能を高めることは、物流品質そのものを高めることにつながります。
■ 「物流品質」は荷役品質でもある
物流品質というと、
配送時間や納期が注目されがちです。
しかし実際には、
荷物を傷つけない、
誤出荷を防ぐ、
安全に荷役する、
という品質も同じくらい重要です。
フォークリフトの操作一つで、
商品の品質、
納品先からの信頼、
物流会社の評価まで変わることがあります。
つまり、
物流品質は、荷役品質でもあるのです。
■ 私が注目したポイント
私は、このような競技大会は今後さらに広がってほしいと思います。
物流業界では、人材不足が大きな課題となっています。
だからこそ、
給与や待遇だけでなく、
技術が評価される文化
を育てることも重要です。
フォークリフトオペレーターは、物流現場の主役の一人です。
その技能を競い、称え、全国大会という目標を持てる環境は、働く人の誇りやモチベーションを高めることにつながります。
物流はトラックだけでは動きません。
倉庫で荷物を支えるオペレーターがいてこそ、サプライチェーンは円滑に機能します。
今回の競技大会は、安全教育の場であると同時に、物流現場を支える技能者の価値を社会に伝える貴重な機会だったのではないでしょうか。