物流業界入門

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【ニチレイへの不正アクセスが示した本当の危機】――止まったのはシステムではない。「物流の時間」である

ニチレイは7月13日、システムへの不正アクセスによる障害が発生し、国内グループ会社の業務へ影響が出ていると発表しました。

現在、

  • ニチレイロジグループ各社の冷蔵倉庫における入出庫業務
  • ニチレイフーズの冷凍食品出荷業務

に影響が発生しています。

現時点では、個人情報や顧客データの外部漏えいは確認されておらず、障害は国内システムに限定されているとしています。復旧時期は調査中です。

7/14 【続報•KFC全店へ波及したニチレイ障害】――止まったのは配送ではない。「外食サプライチェーン」そのものだった - 物流業界入門

一見すると、

「システム障害」

というITニュースに見えます。

しかし、物流の視点から見ると、本当に止まったのはシステムではありません。

物流が最も重要視する"時間"そのものです。


冷蔵物流は「止まること」が許されない

一般的な倉庫であれば、

数時間出荷が遅れても対応できる場合があります。

しかし冷蔵・冷凍物流は違います。

食品は、

保管温度

配送時間

店舗納品時間

販売計画

これらが分単位で連携しています。

だからこそ、

入庫できない。

出庫できない。

在庫が確認できない。

この状態になると、

サプライチェーン全体へ影響が広がります。

物流では、

時間も品質の一部なのです。


不正アクセスが狙うのは情報ではない

今回、

個人情報や顧客情報の漏えいは確認されていません。

ここは安心材料です。

しかし、

だから影響が小さいわけではありません。

近年のサイバー攻撃では、

情報を盗むことだけが目的ではありません。

システムを停止させる。

業務を混乱させる。

企業活動を止める。

こうした攻撃が増えています。

物流会社にとって、

システム停止は

「荷物が動かない」

ことを意味します。

つまり、

物流システムそのものが攻撃対象になっているのです。


倉庫は「保管する場所」ではなくなった

昔の倉庫は、

荷物を保管する施設でした。

しかし現在の物流センターは違います。

WMS(倉庫管理システム)が、

入庫。

保管。

在庫管理。

ピッキング。

出荷。

すべてを制御しています。

システムが止まれば、

在庫があっても出荷できません。

フォークリフトが動いていても、

どの商品をどこへ出荷するか判断できません。

つまり、

物流センターは建物ではなく、システムによって動くインフラになっています。


物流BCPは自然災害だけでは足りない

これまで物流BCPというと、

地震。

豪雨。

停電。

こうした自然災害が中心でした。

しかし近年は、

ランサムウェア。

不正アクセス。

サイバー攻撃。

こうしたデジタルリスクも、

物流を止める原因になっています。

物流がデジタル化するほど、

システム障害は物流障害になります。

BCPも、

物理的な災害だけでは不十分です。

これからは、

サイバーBCP

が物流経営の重要なテーマになります。


荷主企業にも他人事ではない

今回影響を受けたのは、

物流会社だけではありません。

冷凍食品メーカー。

食品卸。

小売業。

外食産業。

物流は、

一社だけで完結しません。

一つの物流センターが止まれば、

その先の店舗、

その先の消費者まで影響します。

だから荷主企業も、

物流会社任せではなく、

代替物流。

複数拠点。

複数システム。

こうしたリスク分散を考える必要があります。


今後、物流はどう変わるのか

今回の事案は、

物流DXの次の課題を示しています。

これから重要になるのは、

  • システムの多重化
  • バックアップ環境の強化
  • ゼロトラストセキュリティの導入
  • サイバー攻撃を想定したBCP訓練
  • アナログ運用への切り替え手順の整備

です。

DXは、

便利にすることではありません。

止まらない物流をつくることです。

そこまで設計されて初めて、

本当の物流DXと言えるでしょう。


おわりに

ニチレイへの不正アクセスは、

IT部門だけの問題ではありません。

物流業界全体が、

デジタルインフラへの依存を深めている現実を改めて示しました。

これから物流が守るべきものは、

倉庫やトラックだけではありません。

物流を支えるシステムそのものです。

物流とは運ぶ産業ではありません。物流とは、モノ・情報・時間を止めることなく社会へ届け続けるインフラなのである。