――「ポスト」を作る議論から、「機能」を統治する段階へ
サプライチェーンの強靭化。
物流OSの再設計。
責任構造の可視化。
本特集で繰り返し論じてきたこれらの変革を、実行段階へと押し出す司令塔。
それが、CLO(物流統括管理者)です。
しかし、多くの中小・中堅企業の経営者は、ここで現実に突き当たります。
「理念は分かる。だが、うちの規模で“専任CLO”など置けるのか?」
この問いは極めて正しい。
そして同時に、多くの企業が誤った前提で悩んでいる問いでもあります。
本稿では、
「社内か、社外か」という表層的な二択を超え、
中小・中堅企業が現実的にCLO機能を実装するための構造を解きほぐします。
1. なぜ中小・中堅企業は「専任CLO」を置けないのか
多くの企業において、物流は長らく「誰かの兼務」でした。
総務の一部、製造の延長、営業の調整業務。
独立した物流部門すら持たない組織にとって、
「CLOを置く」という発想が現実味を帯びない理由は、明確です。
- 人材の希少性
現場オペレーションを理解しつつ、財務・法務・IT・契約を横断できる人材は、市場にほとんど存在しません。 - 成果の不可視性
CLOの成果は「事故が起きない」「コストが爆発しない」「トラブルが減る」という形で現れます。
短期的に数字で評価しにくいことが、導入の心理的障壁になります。 - 権限構造の衝突
営業・製造・購買が長年握ってきた裁量と、物流最適化の論理が正面衝突するリスク。
結果として、多くの企業はこう判断します。
「専任を置けない以上、物流は現場に任せるしかない」
この思考停止こそが、
物流2024年問題、そして2026年以降の競争環境で、静かに致命傷となります。
2. 社内CLOという選択肢:文化を理解した「内側からの統治」
もし社内に、適性のある人材が存在し、かつ育成の時間を取れるのであれば、
社内CLOは非常に強力な布陣になります。
最大の強みは、組織文化への深い理解です。
- 製品特性
- 商習慣
- 現場の暗黙知
- 社内の力学
これらを理解した上で変革を進められるため、
「理屈は正しいが、現場がついてこない」という事態を回避しやすい。
一方で、リスクも明確です。
- 既存の人間関係に引きずられ、改革が漸進的になりやすい
- 他業界・他社の成功事例や制度変更への感度が鈍りやすい
- 「昔からこうだから」という言葉に、知らぬ間に飲み込まれる
社内CLOは、育てば強いが、育つまでに時間がかかる。
これが現実です。
3. 外部CLOという選択肢:変革を進めるための「触媒」
そこで現実解として浮上するのが、
外部CLO(シェアードCLO)という形態です。
これは単なるコンサルタントではありません。
経営会議に入り、責任構造と意思決定の流れに直接関与する「機能」としてのCLOです。
最大の価値は、客観性と翻訳力にあります。
- 社内政治に左右されず、責任の所在を明確にできる
- 現場の言葉を、経営が理解できる言葉に翻訳できる
- 経営判断を、現場が実装できる設計に落とし込める
さらに現実的な利点もあります。
- 専任雇用に比べ、固定費を抑えられる
- 必要な期間・フェーズに限定して導入できる
- 変革初期に必要な「外部の圧」を意図的に使える
外部CLOは、
組織を書き換えるためのアクセラレーターです。
4. 結論:社内に置くべきは「肩書き」ではなく「統治機能」
結論は明確です。
CLOを社内に置くか、社外に置くかは、本質ではありません。
重要なのは、
物流を「経営の言語」で統治する機能が、実際に稼働しているかどうか。
中小・中堅企業が取るべき現実的なステップは、次の三段階です。
- 外部の視点で構造を可視化する
自社の物流を、感覚ではなく構造として捉え直す。 - 社内人材に「経営視点の言語」を移植する
現場担当者を、単なる実務者から判断者へ引き上げる。 - 最終的に、社内でCLO機能が自走する体制を作る
最初から完璧な専任を求める必要はありません。
まず必要なのは、物流を語るための正しい言葉です。
【特集企画 第二弾】
CLO機能を、「人」ではなく「言葉」から実装する。
本特集の第二弾として、
私が直接、企業の「言葉」を書き換えるライティング・プロジェクトを始動しています。
社内にCLOがいないのであれば、
まずはCLOが使うべき言語体系を持ってください。
- 現場に丸投げされた「作業の言葉」を
- 経営が意思決定できる「戦略の言葉」へ
- 荷主に信頼される「説明責任の言葉」へ
私は、貴社の物流を言語から再定義します。
物流を、物理から論理へ。
言葉を変えることは、意思決定のOSを変えることです。
CLO機能は、人事制度より先に、文章で実装できます。
【CLO特集企画・第二弾】物流OS・言語化プロジェクト - 物流業界入門 ※本企画は終了しました。