物流業界入門

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【構造考察】イズミが九州スーパー3社を統合する本当の理由――店舗を増やしたいのではない。物流を一つにしたいのである

大型商業施設「ゆめタウン」を展開するイズミが、

  • ゆめマート熊本
  • ゆめマート北九州
  • サンライフ

の3社を統合すると発表しました。

ニュースだけ見ると、

「グループ再編」 「経営効率化」

という話に見えます。

しかし物流視点で見ると、 本質は別の場所にあります。

これは、

物流統合のための経営統合

です。


■ 小売業の勝負は店舗から物流へ移った

かつてスーパーの競争は、

  • 良い立地を取る
  • 店舗数を増やす
  • 安く仕入れる

でした。

しかし今は違います。

人口減少。

人手不足。

燃料高騰。

物流2024年問題。

これらによって、

「商品を運べるか」

そのものが競争力になっています。

どれだけ売れる商品を持っていても、

店に届かなければ売れません。

つまり、

小売業は販売業ではなく、

物流業になりつつあるのです。


■ なぜ3社を統合するのか

会社が別々に存在していると、

物流面で多くの無駄が発生します。

例えば、

同じイズミグループなのに

熊本向け物流と北九州向け物流で

別々の判断をしているケースです。

  • 発注基準
  • 配送基準
  • 在庫基準
  • システム

が異なれば、

物流は分断されます。

その結果、

グループ全体最適ができません。

統合によって得たいものは、

経営権ではなく

物流指揮権なのです。


■ 西友九州買収が意味するもの

イズミは2024年、

西友の九州事業を取得しました。

多くの人は、

店舗数拡大と理解しています。

しかし物流視点では違います。

取得したのは店舗ではありません。

配送密度です。


物流は密度産業です。

1台のトラックで

何店舗回れるか。

何ケース積めるか。

配送効率はここで決まります。

店舗数が増えるほど、

配送網は強くなります。

逆に店舗数が少ない地域は、

配送コストが高くなります。

つまりM&Aとは、

店舗取得ではなく

配送ネットワーク取得なのです。


■ 九州は物流再編が起きやすい地域

九州は日本有数の物流難地域でもあります。

理由は明確です。

① 広い

福岡から鹿児島まで約300km以上。

配送距離が長い。


② 山地が多い

配送効率が落ちる。


③ 人口が分散している

配送密度が上がりにくい。


④ ドライバー不足

2024年問題以降、

長距離配送の難易度はさらに上昇しました。


結果として、

単独企業で物流網を維持するコストが急激に高まっています。

だから統合が起きる。

これは必然です。


■ 今後起きるのは「配送圏争奪戦」

物流は拠点産業です。

一度配送網を構築すると、

後発企業は入り込みにくくなります。

だから今、

各社は急いでエリアを押さえています。

  • イオン
  • トライアル
  • コスモス薬品
  • ダイレックス
  • イズミ

これらは全て

物流圏の獲得競争でもあります。

店舗競争ではありません。

配送圏競争です。


■ 本当の狙いは共同配送かもしれない

さらに興味深いのはここです。

今後、

小売各社単独で物流網を維持するのは難しくなります。

そのため将来的には、

競合同士が物流だけ共有する流れが加速する可能性があります。

実際、

日用品業界では

花王・PALTACなどが物流標準化を進めています。

物流危機が進めば、

食品流通でも同様の流れが起きる可能性があります。

イズミの統合は、

その準備段階とも考えられます。


■ 結論

今回のニュースは、

スーパー3社の合併ではありません。

物流網の統合です。

人口減少時代において、

企業価値を決めるのは

店舗数ではなく配送能力になります。

売上を作るのは店舗。

利益を残すのは物流。

そしてこれからは、

物流を制する企業が小売を制する時代です。

イズミの統合は、

その未来を先取りする一手なのかもしれません。